王 柳蘭
オウ リュウラン
グローバル地域文化学部グローバル地域文化学科
准教授
Last Updated :2025/04/26

研究者情報

研究キーワード

  • 人の移動とミクロヒストリー
  • 多文化と防災

研究分野

  • 人文・社会 / 文化人類学、民俗学 / 地域研究

受賞

  • 第6回京都大学たちばな賞(優秀女性研究者賞)http://www.kyoto-u.ac.jp/static/ja/news_data/h/h1/news7/2013_1/140303_1.htm
    2014年03月, 京都大学, 王 柳蘭
  • 第1回地域研究コンソーシアム登龍賞
    2011年11月, 地域研究コンソーシアム, 王 柳蘭

論文

  • 第9章 越境経験の物語と自己意識 ――タイ・ビルマ国境域における雲南系ムスリム・パンロン人を事例に
    王柳蘭
    『ミクロヒストリーから読む越境の動態』(アジア太平洋研究叢書5)国際書院, 301 - 331, 2023年03月
  • 序章 越境者の生をめぐる動態とミクロヒストリーの視角
    王柳蘭; 山田孝子
    『ミクロヒストリーから読む越境の動態(アジア太平洋研究叢書5)国際書院, 15 - 32, 2023年03月
  • ディアスポラ・コミュニティの再構築と信仰の継承―神戸華人とクリスチャン
    王柳蘭
    『辺境コミュニティの維持―島嶼、農村、高地のコミュニティを支える「つながり」』本村真編著、ボーダーインク, 145 - 176, 2020年02月01日
  • 移民は<自己>をどう語るか―タイにおける雲南系ムスリムの女性たち
    王 柳蘭
    『他者との邂逅は何をもたらすのか』和田郁子・小石かつら編、昭和堂, 122 - 157, 2017年03月
  • 「食と宗教―北タイに生きる中国系ムスリム」
    王 柳蘭
    『衝突と変奏のジャスティス』谷川竜一他編、相関地域研究谷川竜一他編、相関地域研究、青弓社, 3 67 - 89, 2016年03月
  • Bottom-up Coexistence: The Negotiation of Chinese Ethnicity, Islam, and the Making of Ethno-religious Landscapes among Yunnanese Muslims in the Thai- Myanmar Borderland
    王 柳蘭
    Senri Ethnological Studies, National Museum of Ethnology, 93 49 - 64, 2016年, 研究論文(学術雑誌)
  • 「雲南系ムスリムディアスポラの境界維持と多元的結合」
    王 柳蘭
    『境界研究』, 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター内 境界研究ユニット = Eurasia Unit for Border Reaseach (Japan), 6(6) 53 - 80, 2016年, 研究論文(学術雑誌)
  • 「神戸華人キリスト教徒社会の形成―宣教師と華人の関係性に着目して」
    王 柳蘭
    京都大学地域研究統合情報センターディスカッションペーパーNo.47『移動と宗教実践―地域社会の動態に関する比較研究』, 55 - 66, 2015年03月, 研究論文(大学,研究機関等紀要)
  • 「下からの共生にもとづくネットワーク生成― タイに越境した雲南系ムスリムを事例に」
    王 柳蘭
    『京都大学アジア研究教育ユニット報告7』(福谷彬・中山大将・巫靚共編)、京都大学アジア研究教育ユニット, 64 - 72, 2015年02月
  • 「基于“自下而上的共生”而形成的联系网络-以移居到泰国的云南穆斯林为例」
    王 柳蘭
    福谷彬・中山大将・巫靓共編『京都大学アジア研究教育ユニット報告書7 2014年度京都大学南京大学社会学人類学若手ワークショップ報告論文集』京都大学アジア研究教育ユニット, 129 - 136, 2015年02月
  • 「越境過程における漢人・ムスリム関係の変遷―北タイ国境における共生」
    王 柳蘭
    京都大学地域研究統合情報センターディスカッションペーパーNo.39『下からの共生を問う―複相化する地域への視座』, 52 - 60, 2014年02月
  • 中国雲南系ムスリムの越境と宗教ネットワークの再構築
    王 柳蘭
    日本文化人類学会研究大会発表要旨集, 日本文化人類学会, 2012 6 - 6, 2012年
  • 民族関係から「華」を考える : 北タイ国境における雲南系回民を事例に(<特集>移住先社会と中国のあいだで-近現代史における「華」を問う)
    王 柳蘭
    中国研究月報, 一般社団法人中国研究所, 65(2) 42 - 54, 2011年02月25日
  • 民族関係から『華』を考える―北タイ国境における雲南系回民を事例に
    王 柳蘭
    『中国研究月報』65(2):42-54, 2011年
  • 越境者とミクロ・リージョンの創出
    王 柳蘭
    『地域研究』10(1)、地域研究コンソーシアム、pp7-15, 2010年
  • ムスリム・アイデンティティの再構築と越 境空間の生成―在北タイ中国系と故地とのつながり
    王 柳蘭
    『地域研究』(10):1、52- 72, 2010年
  • 「越境者とミクロ・リーションの創出」
    王 柳蘭
    「地域研究」10 巻1 号、pp. 7-15, 2010年
  • 出産前後の文化と医療を考える:フィリピン華人、北タイ華人、そして自己の身体を事例として
    王 柳蘭
    日本文化人類学会研究大会発表要旨集, 日本文化人類学会, 2009 244 - 244, 2009年
  • 重層化する民族・地域社会といかに関わるか:-「他者」の眼、「自己」の眼、人類学者の眼
    王 柳蘭
    日本文化人類学会研究大会発表要旨集, 日本文化人類学会, 2008 224 - 224, 2008年
  • 「難民」を通じて移動を考える:-北タイ国境の雲南系華人の声から-
    王 柳蘭
    日本文化人類学会研究大会発表要旨集, 日本文化人類学会, 2008 225 - 225, 2008年
  • 口承史からみた越境経験と交易の変容-中緬泰国境を渡った在タイ雲南系 移民の展開
    王 柳蘭
    『アジア・アフリカ地域研究』(8):1、22-51, 2008年
  • Hui Yunnanese migratory history in relation to the Han Yunnanese and ethnic resurgence in Northern Thailand
    L. Wang
    Southeast Asian Studies, 京都大学東南アジア研究所, 44(3) 337 - 358, 2006年
  • Food and Medicinal Plants used for Childbirth among Yunanese Chinese in Northern Thailand
    Wang, Liulan; Weerachai Nanakorn; Katsuyoshi Fultui
    Journal of Ethnobiology 23(2):209-226 ,2003

MISC

  • 「正義を食べチャイナ」
    王 柳蘭
    『世界のジャスティス―地域の揺らぎが未来を照らす』(谷川竜一編)、京都大学地域研究統合情報センターディスカッションペーパーNo.50, 21 - 27, 2015年03月
  • 王柳蘭2015.「育みとしての地域研究―フィールドの成果を次世代に架ける試みについて」
    王 柳蘭
    飯塚宣子・王柳蘭編JCAS コラボレーションシリーズNo.9『子どもたちは多様な地域に何を学ぶのかー感じ方の育みと総合的理解の視点』京都大学地域研究統合情報センター, 112 - 114, 2015年03月
  • 「総合討論」
    王 柳蘭王; 柳蘭; 宮原暁; 水野敦子; エリック・ハーウィット; 久末亮一; 大藪一彰; 原田泰浩; 岩下明裕; 川井伸一; 加々美光行; 高橋五郎
    『日中関係の質的変容をどう理解するか―他地域の視点から捉え直す』塩谷昌史・高橋五郎・貴志俊彦編、JCAS公開シンポジウム報告書, 49 - 60, 2014年02月
  • 「北タイと中国の関係―移民が生み出す関係性」
    王 柳蘭
    日中関係の質的変容をどう理解するか―他地域の視点から捉え直す』塩谷昌史・高橋五郎・貴志俊彦編、JCASコラボレーション・シリーズNo.8、JCAS公開シンポジウム報告書, 29 - 34, 2014年02月
  • 書評
    王 柳蘭
    2012 山田勅之著『雲南ナシ族政権の歴史: 中華とチベットの狭間で』(慶友社、2011年)『中 国研究月報』(中国研究所)66巻12号、pp. 39-42, 2012年
  • 国境を越える「雲南人」--北タイにおける移動と定着にみられる集団の生成過程
    王 柳蘭; Wang Liulan
    アジア・アフリカ言語文化研究, 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, (67) 211 - 262, 2004年03月

書籍等出版物

  • 越境者をめぐる〈故郷〉と〈境界〉 : 個の物語から考える : 第106回公開講演会
    同志社大学人文科学研究所
    同志社大学人文科学研究所, 2024年01月
  • ミクロヒストリーから読む越境の動態
    王, 柳蘭; 山田, 孝子
    国際書院, 2023年03月, 共編者(共編著者)
  • 多文化な日常における防災 : 『いつも』と『もしも』をつなぐ : 第99回公開講演会
    同志社大学人文科学研究所; 同志社大学人文科学研究所公開講演会
    同志社大学人文科学研究所, 2021年10月
  • 生きづらさへの処方箋
    小山, 真紀; 相原, 征代; 舩越, 高樹; 大塚, 類; 吉岡, 剛彦; 王, 柳蘭; 佐分利, 応貴; 今井, 必生; 上野, ふき
    ナカニシヤ出版, 2019年02月28日
  • 『声を繋ぎ、掘り起こす―多声化社会の葛藤とメディア』
    王 柳蘭
    京都大学地域研究統合情報センターディスカッションペーパー, 2016年03月, 編者(編著者)
  • 『子どもたちは多様な地域に何を学ぶのか―感じ方の育みと総合的理解の視点』
    飯塚宣子; 王 柳蘭
    JCAS (地域研究コンソーシアム)コラボレーションシリーズNo.9, 2015年03月, 共編者(共編著者)
  • 『下からの共生を問う―複相化する地域への視座』
    王 柳蘭
    地域研究統合情報センターディスカッションペーパーNo.39, 2014年03月, 編者(編著者)
  • 中国のムスリムを知るための60章
    王 柳蘭
    明石書店, 2012年08月, 共著, タイの雲南系回民ー多様な越境経験を経た定住化
  • 『越境を生きる雲南系ムスリム:北タイにおける共生とネットワーク』
    王 柳蘭
    昭和堂, 2011年02月, 単著, 学術書
  • <境域>の実践宗教ー大陸部東南アジア地域と宗教のトポロジー
    王 柳蘭
    京都大学学術出版会, 2009年02月, 共著, 第15章 北タイにおけるイスラーム環境の形成過程
  • はじまりとしてのフィールドワーク
    王 柳蘭
    昭和堂, 2008年03月, 共著, 第5章 「難民」を通じて移動を考えるー北タイ雲南系華人の事例から
  • タイを知るための60章
    王 柳蘭
    明石書店, 2003年05月, 共著, 第23章 タイの華人社会ー変容する華人像
  • 講座人間と環境5 出産前後の環境ーからだ・文化・近代医療
    王 柳蘭
    昭和堂, 1997年07月, 共著, 第8章 食餌療法と薬草療法ータイ華人の産前産後の民間療法より

講演・口頭発表等

  • 同志社大学人文科学研究所第106回公開講演会 越境者をめぐる<故郷>と<境界>:個の物語から考える
    2023年07月08日
  • 多文化な日常における防災―『もしも』と『いつも』をつなぐ
    同志社大学人文科学研究所第99回公開講演会, 2021年06月13日
  • 離散中国ムスリム・パンロン人のミクロヒストリーにみる越境と自画像の模索」分科会「インビジブルとビジブルな越境をよみとくーアジア・アフリカにおけるミクロヒストリーの視点から」(王柳蘭代表)
    王柳蘭
    日本文化人類学会第53回研究大会、東北大学, 2019年06月02日
  • Border-crossing, Belonging and Family Networks among Chinese Muslim Diaspora in Northern Thailand
    王 柳蘭
    (Co-organized with Nakanishi Tatsuya) International Symposium "Redrawing and Straddling Borders: Chinese Muslims in Transnational Fields and Multilingual Literatures, 2018年12月, シンポジウム・ワークショップパネル(指名), Institute for Research in Humanity, Kyoto University and Faculty of Global and Regional Studies, Doshisha University, Kyoto University
  • “Food and Muslim Migrant Culture for Coexistence in Thai- Myanmar Borderlands”
    王 柳蘭
    The 9th YAU-JICA TCP Special Lecture, Yezin Agricultural University, Myanmar., 2017年03月06日, 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • Shaping Chinese Christian Communities in Kobe”
    王 柳蘭
    Panel “Creating a Trans-Boundary Network and Shared Communication in the Changing Landscape of Asian Societies”(Organizer: Takako Yamada), 9th Conference of East Asian Anthropological Association, Hokkaido University, Japan., 2016年10月, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
  • 「越境与认同:族群、家庭与泰国的华人穆斯林」
    王 柳蘭
    Panel「海外中国穆斯林与中国」(Organizer: Chee-beng Tan), The 9th International Society for the Study of Chinese Overseas, Sheraton Vancouver Airport Hotel, Vancouver, Canada., 2016年07月, シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
  • Bottom-up Coexistence:The Negotiation of Chinese Ethnicity, Islam and the Making of Ethno-religious Landscapes among Yunnanese Muslims in the Thai-Myanmar Borderland
    王 柳蘭
    International Workshop on Migration and the Remaking of Ethnic/Micro-Regional Connectedness, National Museum of Ethnology, Osaka, Japan, 2014年12月
  • “Halal Food, Identity and Negotiation among Chinese Muslim in Northern Thailand”
    王 柳蘭
    7th Conference of East Asian Anthropological Association.Panel “Everyday Strategy of Negotiation and Co-existence: Food, Self and Culture” (organizer:Liulan Wang), 2014年11月
  • 「正義を食べチャイナ―北タイ中国系ムスリムのハラールフードをめぐる展開と交渉
    王 柳蘭
    京都大学地域研究統合情報センター年次報告会共同研究ワークショップ「世界のジャスティス―地域の揺らぎが未来を照らす」於京都大学, 2014年04月26日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • 「北タイと中国の関係―移民の視点から」
    王 柳蘭
    地域研究コンソーシアム年次集会シンポジウム「日中関係の質的変化をどう理解するかー他地域の視点から捉えなおす」, 2013年11月09日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • “Han/Hui Ethnic Relations and Searching for the Commonality of being 'Chinese' and 'Muslim' on the Thai/Myanmar Borderland”
    王 柳蘭
    6th Conference of East Asian Anthropological Association, Xiamen, China. Panel. Border-crossing and Redefining Selves: Inter-ethnic relations,ethnicity and searching(Organizer:Liulan Wang), 2013年11月
  • 「中国雲南系ムスリムの越境と宗教の再構築」
    王 柳蘭
    第46回日本文化人類学会、広島大学, 2012年06月02日, 口頭発表(一般)
  • 「移動とネットワークが生み出す共生的世界―北タイの雲南系ムスリム」
    王 柳蘭
    地域研究コンソーシアム次世代ワークショップ『公と私を結ぶ―東南アジアから考える新しい共生のかた』, 2012年01月08日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • “The Negotiation of Chinese Ethnicity, Islam and the Making of Trans-Regional Network Among Yunnanese Muslims in the Thai-Myanmar Borderland,”
    王 柳蘭
    American Anthropological Association Annual Meeting, San Francisco, USA. 2012.11.18, 2012年
  • ”Border Crossing by Yunnanese Muslims and the Making of their Ethno-Religious Landscape:Focusing on Muslim Networks and Mosque Construction
    王 柳蘭
    110th Annual Meeting of American Anthropological Association, Montréal Canada, 2011年11月
  • 書評会『越境を生きる雲南系ムスリム ―北タイにおける共生とネットワーク』
    王 柳蘭
    第13回日本タイ学会、愛知大学, 2011年07月03日, その他
  • Han /Hui Ethnic Relations and Becoming “Overland Chinese” in the Thai/ Myanmar Borderland
    Wang Liulan
    ワークショップBordercrossing and Imagined Landscape: The Negotiation of Chinese Ethnicity and Identity in Transnational Asia」、2010.1、第10回京都大学『仮想』地球研究会 王柳蘭, 2010年
  • 越境と仮想空間―トランスナショナル \nアジアに生きる華人のエスニシティ・アイデンティティの交錯
    王柳蘭,劉宏; 北村由美
    第10回『仮想地球研究会』、科学研究費基盤研究A2007年~2009年成果報告書「『仮想地球空間』の創出に基づく地域研究統合データベースの作成」(代表:荒木茂・京都大学)、179-183, 2010年
  • 出産前後の文化と医療を考える-フィリ ピン華人、北タイ華人、そして自己の身体を事例と して分科会
    王 柳蘭
    「人類学的実践のフィールドを広げる」 日本文化人類学会第43回研究大会、2009.5(於大阪 国際交流センター、大阪, 2009年
  • ムスリム・ネットワークと華人社会―北タイ国境の事例から
    王柳蘭
    ワークショップ「アジア移民研究の現在・課題・方法―『移民・移動研究』への比較と交差」第19回日本移民学会ワークショップ、 2009.9(於・神戸中華会館), 2009年
  • イスラーム環境下における『華』人
    王柳蘭
    分科会「『華』を問う―歴史・地域比較から捉え直す華僑・華人へのアプローチ」第7回日本華僑華人学会、2009.11, 2009年
  • 2023年7月8日 [(対面・オンライン開催)同志社大学 良心館 RY407室 ] 同志社大学人文科学研究所第106回公開講演会 越境者をめぐる<故郷>と<境界>:個の物語から考える
  • Bottom-up Coexistence:The Negotiation of Chinese Ethnicity, Islam and the Making ofEthno-religious Landscapes among Yunnanese Muslims in the Thai-Myan
    Liulan Wang-Kanda

Works(作品等)

  • グローバルビレッジを撮る・観る・創る―ドキュメンタリー 映画制作を通して見つめる京のムスリムと多文化共生

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • コミュニティの維持をめぐる つながりと境界の動態に関する比較研究 ―人の移動・交渉・葛藤
    2022年04月 -2025年03月, 同志社大学人文科学研究所
  • 東南アジア大陸部におけるイスラーム受容と社会関係の歴史像構築のための基盤研究
    池田 一人; 山根 聡; 村上 忠良; 王 柳蘭; 黒田 景子; 菅原 由美; 吉本 康子; 小林 知
    本研究は、近世から現代までの東南アジア大陸部におけるイスラーム受容の変遷と現地社会との関係の歴史的全体像を明らかにし、その史的視野によって当地におけるイスラームの現代的位置づけを再評価することを目的とした歴史研究プロジェクトである。おもに縁辺事例(ラカイン・マレー・中国・チャム)と内陸部・移動事例を対象として、歴史学者と人類学者による合同調査の実施をとおして成果を得ることを目標としてきた。 令和3年度の最大の目標であったミャンマーへの合同調査が、コロナ禍と2021年2月のミャンマー軍事クーデターにより実施不可能となった。そこでフィールド調査に代替することはできないとしても、かわりに歴史資料の調査・研究に注力を行った。とくに現地研究協力者であるゾーリンアウン氏の協力を得て、ラカイン地方の重要な前近代史料である19世紀の王統史文書3点を入手し電子化を行うことができた。また、1974年に鹿児島大学調査団によって収集されて鹿児島大学等に保管されているビルマ前近代文書のマイクロフィルム115巻には、ラカイン前近代文書が多く含まれていることがわかっているが、これを一括して電子画像資料化することができた。 以上のミャンマー関係の歴史資料の調査・研究に加えて、3回の研究会の実施をとおして、各事例についての議論が深まった。第1回(7/31)ではカンボジアのチャム事例を研究協力者の大川玲子氏(明治学院大学)、カンボジアのムスリム事例をメンバーの小林知氏に、第2回(11/23)に、やはりカンボジアの近世クメール宮廷の事例をゲストの遠藤正之氏、ベトナム・チャムの事例を新江利彦氏に、第3回(3/23)に近世ラカインの事例を協力者のゾーリンアウン氏に報告してもらった。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 2020年04月 -2024年03月, 基盤研究(B), 大阪大学
  • 多元的なリスクをめぐる個と共同性に関する学際的研究 ―移民・難民・災害避難民を軸に
    在日外国人や災害脆弱者を対象に日常に人々が抱えるリスクを把握し、そのうえでのセーフティネット構築の在り方を調べ、さらに、災害を視野にいれた非日常における自助・公助について、人類学・地域研究と防災学による学際研究をおこなう。その特徴は①これまで海外で調査してきた東南アジア研究等の知見をいかし、多様化する日本での東南アジアの移民の課題とニーズを引き出しいくこと、②防災リスクとの接続とその脆弱性(防災研究)―「災害への備え」をキーワードに、防災まちあるきや防災ワークショップなどの実施で外国人を地域住民に接合していく仕組みを一緒に住民と考える。こうした防災と地域研究の学際研究を外国人住民を含めた調査を行うことによって、多世代多文化を包摂した災害リスク対応型の持続可能な地域社会への提言とモデル化をおこなっていく。, 同志社大学人文科学研究所, 2019年04月 -2022年03月, 研究代表者
  • IPCR「移民・難民の表象分析と多様なアクターによる映像実践―アジア・アフリカにおける比較研究
    直井里予; 村橋勲; 中山大将; 速水洋子
    京都大学東南アジア地域研究研究所, 2019年04月 -2021年03月, 研究代表者
  • ASEAN共同体の研究:自然資源開発,一次産品貿易と海洋権益をめぐる政治経済学
    林田 秀樹; 鷲江 義勝; 寺田 貴; 上田 曜子; 和田 喜彦; 厳 善平; 関 智宏; 鈴木 絢女; 加納 啓良; 加藤 剛; 西口 清勝; 西澤 信善; 細川 大輔; 岡本 正明; 岩佐 和幸; 瀧田 修一; 中井 教雄; 日下 渉; 木場 紗綾; NGOV Penghuy; 王 柳蘭; 西 直美; 小林 弘明; 太田 淳; 伊賀 司; 佐久間 香子; 渡邉 美穂子; 大﨑 佑馬
    本研究は、3年間にわたる標記研究課題関連の共同研究の結果として、数多くの研究成果を生み出してきた。各年度の研究実績報告及びそれら報告に記載漏れがあったものを集計してみると、論文47本、学会発表等59本、著書17冊(単著2冊)となる。この中で特徴的なものを挙げると、以下の通りとなる。 (1)本研究の基盤である同志社大学人文科学研究所の機関誌『社会科学』48(2)に特集を組み、メンバー7名が投稿した。 (2)同研究所が主催する第92回公開講演会で、「ASEAN-日本間の利害関係と東アジアの将来―資源・一次産品・領有権の視点から―」と題するシンポジウムを企画・実行し、同題名のブックレットを刊行した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2016年04月 -2019年03月, 基盤研究(B), 同志社大学
  • 北タイにおける中国系ムスリム移民の越境と宗教ネットワークに関する人類学的研究
    王 柳蘭
    本研究の目的は、中国出身のムスリム越境者(雲南系ムスリム)に着目し、政治的経済的なマクロな諸要因によって生活様式が大きく影響されつつも、民族独自の宗教、言語や諸文化にもとづく多元的なネットワークを用いて、東アジアと東南アジアを結ぶ移民の生活圏を確立していく姿を捉え、移民の視点からみた地域像を浮き彫りにする点にある。最終年度において代表者は、アメリカ・サンフランシスコで行われたAmerican Anthropological Associationの年次集会にて"The Negotiation of Chinese Ethnicity, Islam and the Making of Trans-Regional Network Among Yunnanese Muslims in the Thai-Myanmar Borderland"と題して、本研究で得られた越境とネットワーク、宗教の動態に関する最新の知見にもとづき、研究発表を行った。また、宗教の再構築というテーマのもと、日本文化人類学会においても、「中国ムスリムの越境と宗教の再構築」と題して口頭発表を行い、地域を越えた比較の視点から議論を行った。また、台湾のキリスト教組織によるタイ北部雲南系ムスリム移民支援に関する資料収集を行い、文献資料をもとに越境と宗教空間の再構築に関する理論的検討も行った。これらの研究と成果発表にもとづいて、越境と宗教動態とネットワークに関する中国系ムスリムの独自性と地域的特徴を把握し、越境プロセスにおいて宗教の果たす役割、民族・宗教を超えた共生の在り方についてあらたな知見を得ることができた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 2009年 -2012年, 特別研究員奨励費, 京都大学
  • 『仮想地球空間』の創出に基づく地域研究統合データベースの作成
    荒木 茂; 山越 言; 王 柳蘭; 原 正一郎; 村上 勇介; 柳澤 雅之; 北村 由美; 舟川 晋也; 水野 啓; 梅川 通久; 有川 正俊; 池谷 和信; 竹川 大介; 竹川 大介
    諸科学が提示するグローバルな認識、イメジと、地域研究で集積されるミクロな情報とのギャップを埋め、両者を統一的に理解してく道筋の一つとして、可変的なスケールをもつ『仮想地球空間』を想定し、地域情報をインタラクティブに集積していくツールの開発と、データ集積を行なった。地域研究が提示する地域のメッセージを、地点情報、主題図の形で地球上に貼り付けていくことによって、地球を多様な世界観からなる地域のモザイクとして描き出し、グローバルな認識と接合させる道が開かれた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 2007年 -2009年, 基盤研究(A), 京都大学
  • 東南アジア大陸部・西南中国の宗教と社会変容-制度・境域・実践
    林 行夫; 速水 洋子; 柳澤 雅之; 黒田 景子; 長谷川 清; 西本 陽一; 村上 忠良
    本プロジェクトは13名の研究分担者と6名の研究協力者(タイ人2、中国人1、カンボジア人1を含む)が参加し、専門とする地域でそれぞれの研究主題にかんする調査を、現地の政府部局、関連研究機関との密接な連繋の下で実施した。その結果、宗教の法制度面にかんする各国の公式・非公式を含む基礎データを蒐集した(タイ、ミャンマー、カンボジア、中国雲南省、ラオス)。さらに、それぞれが自らの調査国の集落や地域でのフィールドワークを実施し、制度の運用と日常生活での実践についての詳細な資料を蓄積することができた。とくに、長らく経験的調査の空白であった社会主義国での宗教と社会にかんする中央の制度と地方での実践にかんするデータを集積・更新できたのは大きな貢献と自負する。研究主題は、タイ、中国、ミャンマー間の地政学的な国境域に焦点をあてたものと、近年の社会変化にともなう一国内の制度・実践の変容に着眼したものに分かれる。移住、開発政策、都市=農村、女性信徒の実践、経典仏教の変遷について新たな知見を得た。また、上座仏教が卓越する大陸部東南アジアでは少数者のキリスト教徒とムスリムについても同様の成果を得た。タイおよびミャンマーの山地民社会でのローカルなレベルでの布教、制度状況、首都と南部のムスリム社会の現況を解明する材料を得た。参加者全員による19本の論文を収める『報告書』は、国境域と一国あるいは制度と生活世界の狭間で多様に変容する宗教の動態を詳細に浮き彫りにしている。同報告書を基礎に、和文と英文で論集を出版公開する計画はすでに進めているが、本プロジェクトの成果の一部は、来る6月の第75回東南アジア史学会大会(名古屋大学)でのパネル報告として初公表される。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 2003年 -2005年, その他, 基盤研究(A), 京都大学
  • 越境するタイ北部の雲南系ムスリムをめぐる民族間関係の分析
    王 柳蘭
    申請者は「越境するタイ北部の雲南系ムスリムをめぐる民族間関係の分析」というテーマのもとに、雲南系ムスリムの移動にともなう多層的な民族間関係に焦点を当て、移住先で彼らがどのようにコミュニティを形成していくのかという点を明らかにするために研究をおこなってきた。研究成果は、つぎの3点にまとめられる。1)雲南系ムスリムの移住にともなう周辺民族との民族間関係:雲南系ムスリムは、北タイに移住後、周辺民族である山岳民族、平地タイ人、雲南系、潮州系のタイ華人やインド・パキスタン系ムスリムといった異民族と、多面的な社会関係をつくりあげてきた。山岳民族とは交易によって、インド・パキスタン系ムスリムと宗教を通じて、相互の往来があり、一部には雲南系ムスリムとの通婚もみられる。とりわけ、雲南系漢族とは、雲南からの移住時期が重なり、タイに定着した現在では、雲南系華人として結合し、同郷会館をつくり、タイにおける華人の役割を果たしはじめている。2)雲南系ムスリムの民族内関係:雲南系ムスリムは北タイに移住後、宗教を通じて、民族集団内におけるさまざまな社会関係をむすんできた。とりわけ、雲南系ムスリムどうしの婚姻が世代を越えて維持されことや、北タイ各地における雲南系ムスリムによるモスクの建設や、その他の宗教活動における共有などに特徴がみられる。こうした雲南系ムスリム間における社会関係の構築は、雲南系ムスリムのコミュニティが地域的にしだいに形成されていく過程を示すものである。3)国境をこえた雲南系ムスリムの移動:雲南系ムスリム内における社会関係は、タイ国内にとどまらず中国の雲南ムスリムとの間でも展開しつつある。こうした傾向は1990年代に入り活発化し、彼らは親族や知人をつうじた故郷訪問をおこなうばかりではなく、雲南におけるモスクの建設などといった宗教施設の復興も経済的に支援している。また、チェンマイでは、中国の雲南ムスリムと北タイの雲南系ムスリムが合同でメッカ巡礼を行われ始めている。以上の事例は、近年、雲南系ムスリムを中心に、中国ムスリムとの国境をこえた連携がしだいに強まっていることを表している。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 2001年 -2002年, 特別研究員奨励費, 京都大学
  • ミクロヒストリーから照射する越境・葛藤と共生の動態に関する比較研究
    京都大学地域研究統合情報センター(現京都大学地域研究研究所)

その他

  • 第6回京都大学 優秀女性研究者賞「たちばな賞」授賞式発表、於京都大学
    2014年03月 -2014年03月, 「アジアにおける中国系ディアスポラと多元的共生空間の生成」
  • グローバルビレッジを撮る・観る・創る―ドキュメンタリー 映画制作を通して見つめる京のムスリムと多文化共生
    同志社大学の学生と京都におけるムスリム世界とグローバルビレッジをテーマとした短編ドキュメンタリー映画を制作した。自分の文化を見つめなおしながら、文化も価値観も違う他者をいかに理解し、どのような関係性を築いていくことができるでしょうか? 作品を一般向けに上映し、対話を通じて開かれたコミュニティや共生社会の在り方についても考えていく企画である。 http://riporipo.com/doshisha-pbs/