同志社大学, 理工学部数理システム学科, 教授, 2024年04月 - 現在
大阪大学, 大学院理学研究科数学専攻, 准教授, 2017年03月 - 2024年03月
岡山大学, 大学院自然科学研究科(兼担:環境理工学部環境数理学科), 准教授, 2009年04月 - 2017年02月
京都大学, 大学院理学研究科 数学・数理解析専攻, GCOE 特定助教, 2008年10月 - 2009年03月
立命館大学, 理工学部, 数学嘱託講師, 2007年04月 - 2008年09月
対称マルコフ過程の経路解析と関数解析的性質
塩沢 裕一; 森 隆大; 松浦 浩平
1)代表者 塩沢は、Jian Wang 氏(Fujian Normal University)との共同研究で、対称マルコフ過程が与えられた集合に滞在する時刻全体、および測度距離空間上の2つの独立な対称マルコフ過程が与えられた集合で衝突する時刻全体のハウスドルフ次元を決定した。今回の研究成果は、熱核評価を通じた解析に基づき、測度距離空間上のマルコフ過程、特にフラクタル上のブラウン運動や対称安定型過程にも適用可能である。本研究成果を国際研究集会などで発表するとともに、確率論の専門誌で論文として公表した。
2)代表者 塩沢は、Jian Wang 氏(Fujian Normal University)との共同研究で、レビ型雑音を持つ分数べき確率熱方程式に対して、解の空間方向に対する大域的性質を調べた。確率熱方程式の主要部が分数べきラプラス作用素になることで、裾の重さが解の存在性および大域的性質に影響を与えることが明確になった。
3)分担者 松浦は、京都大学の日野正訓氏とその学生であった真木新太氏との共同研究において、領域上の反射壁ブラウン運動に対する離散近似を得、結果に関する論文の執筆と投稿を行なった。この近似は領域の分割上のマルコフ連鎖によるもので、不均一な分割を例に含む。また、京都産業大学の森隆大氏との共同研究において、マルコフ過程のフェラー性について議論し、ポテンシャル論的な必要十分条件について既存の結果を整理した。
4)分担者 森はディリクレ形式の境界理論の観点からキャパシティーを特徴付ける研究を行った。また、指数 $p>2$ のルベーグ空間へのディリクレ空間のコンパクト埋め込みについて研究を行い、熱核の文脈での同値条件を得た。
5)研究集会「マルコフ過程とその周辺」では、本研究費で講演者の旅費援助を行った。また、研究集会やセミナーで研究成果を報告し、情報収集を行った。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2023年04月 -2028年03月, 基盤研究(B)
マルコフ過程の線形増大に関する現象の普遍性
塩沢 裕一
前年度に引き続いて、双曲空間上のブラウン運動に対する Berry-Esseen 型定理の研究に取り組んだ。前年度末の時点では、空間次元が 3 のときに限って Berry-Esseen 型定理を得ていた。本年度は、空間次元が一般の場合に Berry-Esseen 型定理を得ることができた。特に、収束レートは通常の Berry-Esseen 型定理と変わらないことが分かった。さらに、空間次元が 2 もしくは奇数のときには、今回得た収束の速さが精密であることも示した。
前年度末の時点では、一般の空間次元の場合を扱うために、Gruet (1996) による、推移確率の積分表示を積極的に取り入れる方針に変更した。本年度は実際に、この方針に沿って計算を実行することを試みた。しかし、先に述べた積分表示の解析が難しく、計算を進めることができなかった。そこで方針を変更し、Millson の公式と呼ばれる、異なる次元に対応する推移確率たちに関する再帰式を用いることにした。すると、この公式と部分積分の公式とを繰り返し適用することで、分布に関する計算を実行することが可能となり、Berry-Esseen 型定理を証明するに至った。
この研究成果を論文にまとめて投稿した。さらに、本成果について研究集会「Dirichlet Forms and Related Topics」および「確率解析とその周辺」で発表するとともに、結果の一般化の可能性などについて参加者と議論した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2022年06月 -2025年03月, 挑戦的研究(萌芽), 大阪大学
対称マルコフ過程の大域的性質の解析
塩沢 裕一
1)西森康人氏(阿南工業高等専門学校)との共同研究により,分枝構造が加藤クラス測度から定まるようなユークリッド空間上の分枝ブラウン運動について,拡散度に関する極限分布を,粒子の消滅が起こる場合を含め,空間次元が3次元以上のときにも同定した。さらに,拡散度の upper deviation 型分布の長時間挙動を,臨界的な場合も込めて明らかにした。以上の結果は,昨年度の西森氏との研究成果を改善している。これらの研究成果は,昨年度に執筆した西森氏との共著論文の改訂版としてまとめて専門誌に投稿した。
2)Jian Wang 氏 (Fujian Normal University) との共同研究により,ユークリッド空間上の飛躍型マルコフ過程は,飛躍核の2次モーメントが有界かつドリフトに相当する部分が消滅すれば,マルチンゲール性を有することを明らかにした。その応用として,飛躍型マルコフ過程について重複対数の法則が成立するための十分条件を,飛躍核の一様楕円性に相当する条件で与えた。先行研究では推移確率の評価を用いた解析がなされており,そのためにマルコフ過程の対称性が仮定されていた。一方で,本研究ではマルチンゲールの一般論を用いた証明を与えており,非対称なマルコフ過程にも本研究成果は適用可能である。以上の研究成果を論文にまとめて専門誌に投稿した。
3)研究セミナー「大阪大学確率論セミナー」を共同で開催し,研究交流や情報交換を行った。さらに,国内外の研究集会やセミナーにおいて研究成果の報告や議論を行った。なお,本研究費の一部を旅費にあてた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2017年04月 -2021年03月, 基盤研究(C), 大阪大学
対称マルコフ過程の経路解析とディリクレ形式
塩沢 裕一
正則ディリクレ形式から生成される対称マルコフ過程の経路解析を行った。まず,粒子が無限遠点に逃げる速さ(脱出レートの下限)について,体積増大度および熱核に関する条件の下で評価を与えた。さらに,この評価に現れる積分式が,脱出レートの下限に関する末尾確率の退化率を表すことを示した。次に,双曲空間上のブラウン運動の脱出レートを決定した。最後に,ユークリッド空間上の分枝ブラウン運動について,適切な仮定の下で,あるシュレディンガー型作用素の最小固有値から拡散度が定まることを示した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2014年04月 -2017年03月, 基盤研究(C), 岡山大学
マルコフ過程の漸近挙動の解析
塩沢 裕一
正則ディリクレ形式から生成される飛躍拡散型の対称マルコフ過程に対して,状態空間内にいつまでも留まる(保存的である)ための十分条件を与え,粒子が無限遠方に逃げる程度を示す指標(脱出レートの上限)を調べた。さらに,以上の結果が精密であることを,具体例を通じて確かめた。また,正則ディリクレ形式の Silverstein 拡大が一意的になるための十分条件を,対応する内在的距離の位相的性質で与えた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 2011年 -2013年, 若手研究(B), 岡山大学
分枝マルコフ過程の長時間漸近挙動の解析
塩沢 裕一
ランダム環境中の分枝ブラウン運動について研究を行った。その結果として,たとえ絶滅が起こりうる場合においても,絶滅しない条件の下では弱い意味での局在化が起こることを示した。また,ディリクレ形式から生成される純飛躍型対称マルコフ過程についても研究を行い,保存的であるための十分条件を与えることができた。さらに,対称安定過程の時間変更によって爆発を起こす純飛躍型マルコフ過程を具体的に構成し,我々の十分条件が精密であることを確かめた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 2009年 -2010年, 若手研究(B), 岡山大学