木下 孝治
キノシタ コウジ
司法研究科
博士後期課程教授
Last Updated :2024/04/26

研究者情報

研究分野

  • 人文・社会 / 民事法学

学歴

  • 大阪大学, 法学研究科, 民事法学専攻, - 1994年
  • 大阪大学, Graduate School, Division of Law, - 1994年
  • 大阪大学, 法学研究科, 民事法学専攻, - 1992年
  • 大阪大学, Graduate School, Division of Law, - 1992年
  • 大阪大学, 法学部, - 1990年
  • 大阪大学, Faculty of Law, - 1990年

学位

  • 修士(法学), 大阪大学

論文

  • 死亡保険金受取人の法的地位 : 対価関係の解釈と受益しない旨の意思表示について
    木下 孝治
    同志社法学 = The Doshisha law review / 同志社法学会 編, 京都 : 同志社法学会, 75(6) 1543 - 1565, 2023年12月
  • 顧客の意向の把握義務—特集 保険募集と保険業法改正
    木下 孝治
    ジュリスト = Monthly jurist / 有斐閣 [編], 東京 : 有斐閣, (1490) 20 - 26, 2016年03月
  • 国際保険監督規制の現状と課題
    木下 孝治
    保険学雑誌, 日本保険学会, 2016(632) 632_65 - 632_79, 2016年
  • 商事法 保険法 傷害保険における「外来の事故」の意義[最高裁平成25.4.16判決]
    木下 孝治
    私法判例リマークス : 判例評論, 東京 : 日本評論社, (50) 106 - 109, 2015年
  • 保険法改正
    竹濱 修; 洲崎 博史; 木下 孝治
    私法, 2008(70) 61 - 116, 2008年
  • Asymmetric information and defenses against fraudulent claim in insurance contract: 保険契約における情報格差の是正と不正請求対策: Symposium: The reformation of the insurance contract law: Symposium The reformation of the insurance contract law
    (70) 282 - 280, 2008年
  • 信託法—特集 二〇〇七年学界回顧
    木下 孝治
    法律時報, 東京 : 日本評論社, 79(13) 122 - 128, 2007年12月
  • 信託法—特集=2006年学界回顧
    木下 孝治
    法律時報, 東京 : 日本評論社, 78(13) 123 - 128, 2006年12月
  • 書評 山下友信著『保険法』
    木下 孝治
    書斎の窓 = The window of author's study, 東京 : 有斐閣, (549) 44 - 48, 2005年11月
  • 保険募集における重要事項説明ルールの考え方について
    木下 孝治
    生命保険論集 = JILI journal, 東京 : 生命保険文化センター, (152) 75 - 120, 2005年09月
  • 募集チャネルの多様化と保険募集規制の課題—販売チャネルの多様化の現状と課題--平成16年度〔日本保険学会〕大会共通論題
    木下 孝治
    保険学雑誌 = Journal of insurance science / 日本保険学会 編, 東京 : 日本保険学会, (588) 66 - 84, 2005年03月, 研究論文(学術雑誌)
  • コンメンタール 保険業法逐条解説(23)第9章[前注]~第218条
    木下 孝治
    生命保険論集 = JILI journal, 東京 : 生命保険文化センター, (148) 149 - 208, 2004年09月
  • 保険業法逐条解説(XXIII)
    木下 孝治
    生命保険論集 148号, 149 - 208, 2004年, 研究論文(学術雑誌)
  • 保険料の不払と保険会社による保険免責の主張の可否—特集 保険募集上の重要課題
    木下 孝治
    ほうむ, 東京 : 損保ジャパン, (49) 55 - 74, 2003年03月
  • 外国保険会社規制の目的と海外直接付保規制
    木下 孝治; Kinoshita Koji; キノシタ コウジ
    阪大法学, 大阪大学法学会, 52(3) 787 - 806, 2002年11月
  • 商法UP-TO-DATE(6)商取引法編(2)金融商品の販売--責任範囲の明確化・限定化は市場振興に貢献するか?
    木下 孝治
    法学教室, 東京 : 有斐閣, (255) 104 - 110, 2001年12月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(8)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, 51(3) 557 - 587, 2001年09月
  • 損害保険基準協議会(GISC)による英国損害保険募集の規制・研究序説
    木下 孝治
    損害保険研究, 東京 : 損害保険事業総合研究所, 63(1) 75 - 107, 2001年05月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(7)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, 50(6) 899 - 922, 2001年03月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(6)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, 50(2) 239 - 299, 2000年07月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(5)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, 50(1) 1 - 65, 2000年05月
  • 地震保険における保険金限度額を超過した保険金額約定の効力
    木下 孝治
    損害保険研究, 東京 : 損害保険事業総合研究所, 60(1) 41 - 87, 1998年06月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(3)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, (192) 1243 - 1271, 1998年02月
  • ドイツ法における保険約款を変更する個別的合意の効力について
    木下 孝治
    文研論集, 大阪 : 生命保険文化研究所, (121) 161 - 201, 1997年12月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(2)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, (189) 579 - 607, 1997年08月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(1)
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, (188) 375 - 396, 1997年06月
  • 損害保険代理店の説明義務と顧客による商品選択
    木下 孝治
    損害保険研究, 東京 : 損害保険事業総合研究所, 58(2) 171 - 213, 1996年08月
  • ドイツ法における保険契約申込の遅延処理
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, 172・173(下) p713 - 732, 1994年11月
  • ドイツ保険法における保険代理商の教示・助言義務
    木下 孝治
    阪大法学 = Osaka law review / 大阪大学大学院法学研究科 編, 豊中 : 大阪大学大学院法学研究科, (170) p1449 - 1470, 1994年03月
  • ドイツ保険法における保険者の教示義務
    木下 孝治
    損害保険研究, 東京 : 損害保険事業総合研究所, 54(3) p67 - 119, 1992年11月

MISC

  • (判例解説)保険事故により被保険者が死亡した場合における人身傷害保険金の帰属
    木下孝治
    私法判例リマークス, (64) 102 - 105, 2022年03月
  • (判例解説)建築請負人の施工土地に対する占有と商事留置権の成否(東京地決平成11・7・23)
    木下孝治
    別冊ジュリスト243号『商法判例百選』, 74 - 75, 2019年06月
  • 座談会「保険法の論点と課題」
    山下友信; 洲崎博史; 木下孝治; 遠山優治; 山下信一郎
    ジュリスト, 東京 : 有斐閣, (1522) 14 - 29, 2018年08月
  • 「国際保険監督規制の現状と課題」
    木下 孝治
    保険学雑誌, (632号) 65 - 79, 2016年
  • 「顧客の意向の把握義務」
    木下 孝治
    ジュリスト, (1490号) 38 - 44, 2016年
  • 「定型約款」
    木下 孝治
    損保ジャパン日本興亜福祉財団叢書 「保険業法に関する研究会」報告書『債権法改正と保険実務』, (No.87) 81 - 102, 2016年
  • (判例研究) 「転換募集時の説明義務・指定代理請求人による撤回権の行使・転換契約申込の内容訂正請求と撤回権行使期間の起算時」
    木下 孝治
    保険事例研究会レポート, 生命保険文化センター, (288号) 43790 - 21, 2015年
  • 「保険業法逐条解説(XXXXIII)保険業法施行規則第234条第1項第8号~15号 (関西保険業法研究会)」
    木下 孝治
    生命保険論集, (192号) 71 - 109, 2015年
  • 「保険業法逐条解説(XXXXII)保険業法施行規則第234条第1項第7号(関西保険業法研究会)」
    木下 孝治
    生命保険論集, (191号) 149 - 175, 2015年
  • 「保険業法逐条解説 (XXXⅥ) 第300条1項4号(関西保険業法研究会)」
    木下 孝治
    生命保険論集, (184号) 187 - 222, 2013年
  • 「保険業法逐条解説(XXXV)第300条1項2号3号(関西保険業法研究会)」
    木下 孝治
    生命保険論集, 生命保険文化センター, (183号) 155 - 187, 2013年
  • Case Law Trends in the Japanese Insurance Law and their Impact on the Japanese Insurance Act 2008 - Structure of the Act andAnti-Fraud Issues
    Koji Kinoshita
    Zeitschrift für Japanisches Recht, Vol.18(No.36) 165 - 201, 2013年
  • Case Law Trends in Japanese Insurance Law and Their Impact on the Japanese Insurance Act 2008 - Structure of the Act and Anti-Fraud Issues
    木下孝治
    ZjapanR, (36) 165 - 201, 2013年
  • (判例解説)「告知義務違反の事実たる不整脈と死因の因果関係(東京高判平成22年5月20日,東京地判平成21年11月9日)」
    木下 孝治
    『保険事例研究会レポート』, (261) 43762 , 2012年
  • (その他)「海商法・保険法・金融法」
    木下 孝治
    『法学部生のための選択科目ガイドブック』, 2011年
  • (判例解説)「店舗総合保険契約に基づき支払われる水害保険金支払額の調整対象となる「他の保険契約」の意義(最判平成21年6月4日)」
    木下 孝治
    『私法判例リマークス』, (42), 2011年
  • (その他)「保険募集の規制の新たな枠組みに向けた検討の視点」
    木下 孝治
    『損保ジャパン記念財団叢書』, (77) 40 - 52, 2010年
  • (判例解説)「死亡保険金受取人を定める表示の解釈(最判昭和58年9月8日)」
    木下 孝治
    『別冊ジュリスト』, (164) 138 - 139, 2010年
  • (判例解説)「保険金受取人の同時死亡により定まる死亡保険金受取人の範囲(最判平成21年6月2日)」
    木下 孝治
    『金融・商事判例』, (1336) 234 - 235, 2010年
  • 「コンメンタール 保険業法逐条解説(ⅩⅩⅣ)」
    木下 孝治
    『生命保険論集』, 197 - 244, 2010年
  • (座談会)「保険法の重要論点と保険会社実務」
    木下 孝治
    『ほうむ』, 損保ジャパン, (55) 9 - 50, 2009年
  • 「告知義務」
    木下 孝治
    『保険法改正の論点:中西正明先生喜寿記念論文集』, 37 - 51, 2009年
  • (判例解説)「車両盗難保険における事故の偶然性の主張立証責任(最判平成19年4月17日)」
    木下 孝治
    『ジュリスト』, (1354) 117 - 118, 2008年
  • (判例解説)「傷害保険及び災害関係特約における偶発性の証明責任と立証の程度(最決平成17年6月14日,東京高判平成17年2月9日,東京地判平成16年9月6日)」
    木下 孝治
    『保険事例研究会レポート』, (222) 43789 , 2008年
  • 「告知義務・危険増加」
    木下 孝治
    『ジュリスト』, 東京 : 有斐閣, (1364) 18 - 26, 2008年
  • (その他)「2007年学界回顧・信託法」
    木下 孝治
    『法律時報』, 79(13) 122 - 128, 2007年
  • 「保険契約における情報格差の是正と不正請求対策」
    木下 孝治
    『商事法務』, 東京 : 商事法務研究会, (1808) 14 - 26, 2007年
  • 「保険販売における契約概要・注意喚起情報の記載内容」
    木下 孝治
    『ビジネス法務』, 中央経済社, 7(7) 82 - 87, 2007年
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(四)
    木下 孝治
    阪大法学, 大阪大学, 48(1) 137 - 168, 1998年04月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(三)
    木下 孝治
    阪大法学, 大阪大学, 47(6) 103 - 131, 1998年02月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(二)
    木下 孝治
    阪大法学, 大阪大学, 47(3) 105 - 133, 1997年08月
  • ドイツ保険監督法上の保険者の情報提供義務及び契約締結(一)
    木下 孝治
    阪大法学, 大阪大学, 47(2) 211 - 232, 1997年06月
  • 保険代理商の法的地位と顧客に対する責任
    木下 孝治
    阪大法学, 大阪大学, 45(3) 167 - 184, 1995年10月

書籍等出版物

  • (判例紹介)『判例プラクティス民法Ⅲ 親族・相続』
    木下 孝治; 松本恒雄
    信山社, 2010年, 共著
  • 『保険法改正の論点:中西正明先生喜寿記念論文集』
    木下 孝治; 竹濵修他
    法律文化社, 2009年, 共著
  • 「生命保険判例集第12巻」
    木下 孝治; 山下友信他
    生命保険文化センター, 2008年, 共著

講演・口頭発表等

  • 「国際保険監督規制の現状と課題」
    木下 孝治
    日本保険学会創立75周年記念大会シンポジウム, 2015年
  • Current Development of the Japanese Insurance Act 2008 - A sketch of comparative study with the German VVG and the PEICL
    木下 孝治
    外国の研究会における交流報告(Frankfurter Vorträge zum Versicherungswesenに掲載), 2012年
  • 「保険商品・サービスの提供に係る法規制のあり方について(意見)」
    木下 孝治
    金融審議会・保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ, 2012年
  • 「諸外国における保険募集法制の現状及びわが国の法制との比較」
    木下 孝治
    金融審議会金融分科会第二部会・保険の基本問題に関するワーキング・グループ委員, 2008年
  • 「保険法改正要綱における消費者保護ルールの論点」
    木下 孝治
    近畿弁護士会連合会シンポジウム, 2008年
  • 「補遺 保険法改正に伴う保険業法の見直しについての提言」
    木下 孝治
    金融審議会金融分科会第二部会・保険の基本問題に関するワーキング・グループ, 2007年
  • 「保険契約における情報格差の是正と不正請求対策」
    木下 孝治
    日本私法学会商法部会シンポジウム, 2007年, 専修大学

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 金融監督規制の国際調和と相互承認の研究
    久保田 隆; 弥永 真生; 木下 孝治; 田澤 元章
    本研究成果の概要としては、概要2つに分類できる。第一に、日本法の透明化に資するべく、金融法班の取引法グループ(代表:野村教授)と連携し、日本の判例・法令を英訳しチェックしてホームページ上で公開した。第二に、法学研究の深化と日本からの発信に資するべく、金融監督規制の国際調和と相互承認に関する研究を進めて論文発表・内外の学会報告を何度も行ったほか、アメリカから成果の一部を研究書として商業出版し、本テーマに関わる国際シンポジウムを開催した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2004年 -2009年, 特定領域研究, 早稲田大学
  • 金融サービス市場における行為規制の自主規制による実効性確保プログラム
    木下 孝治
    金融庁が平成17年にスタートさせた金融改革プログラムは、金融サービス利用者の保護と利便性を高めることを目標として、金融商品の販売勧誘ルールの見直しを課題とする点で、本研究の視座に沿うものである。監督官庁が行為規制ルールの整備に乗り出したことで、本研究のアプローチである自主規制の活用は、研究の主役から派生的論点へと位置づけの変更を余儀なくされた。そのような状況の下、申請者は「保険商品の販売勧誘のあり方に関する検討チーム」への参加を許され、平成17年度には、保険商品の説明義務および適合性原則に関する諸ルールのあり方について議論に参加した。 説明義務のあり方については、従来のルールの問題点が、顧客に提供される情報の肥大化傾向にあるとみて、顧客の商品選択にとって必要な重要事項は、募集プロセスの各段階で異なること、顧客に提供する重要事項の総量を、情報提供の目的に即して合理的分量にコントロールするべきである。その上で、勧誘の早い段階で交付される契約概要、契約締結前の確認書面である注意喚起情報の双方につき、記載内容をいかなる見地から確定すべきか、更には、多様な勧誘方法の有り様を踏まえて、いかなる時期にいかなる方法で情報提供すべきかにつき、私論を提示した。 引き続き、保険募集における適合性原則の考え方につき、私見を公表する機会を早急に得たい。この局面では、投資取引と区別された意味で顧客の保険加入目的に即した勧誘を行うことを求める法原理として適合性原則を把握し、原理としての適合性原則を具体化した諸々の適合性ルールとして、顧客との合意または顧客の合理的信頼に基礎をおく形で募集人が引き受けた助言の公正さを確保するルール、助言の前提として勧誘の際に提示する複数商品の公正な比較を確保するためのルール、商品比較を経て助言する乗合募集ビジネスの認知、クーリングオフ権の拡大などが必要である。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2003年 -2005年, 若手研究(B)
  • 金融サービス法構想における保険業の位置づけ
    木下 孝治
    本研究の成果は、英国における損害保険募集の自主規制態勢につき、英国保険会社協会(ABI)から英国損害保険基準協議会(GISC)に移行する際の制度枠組及び自主規制ルールの特徴を明らかにしたことである。EC指令のレベルでは、損害保険商品の事前開示規制は生命保険よりもきわめて簡略なものにとどまるが、英国では、損害保険においても商品開示の自主規制ルールが1980年代から存在しており、規制の実効性確保についても大きな関心が払われてきた。顧客に対する説明義務については、募集機関が独立的であるか従属的であるかによる区別を認めず、顧客の属性による区別のみが認められている。また、顧客の加入目的と商品の間の適合性を保障するためのルールも承認されている。自主規制を行う上で、損害保険は投資商品とは理念上区別されているが、結論上、投資商品と同様のルールが採用されているのは、購入目的に適合した商品の選択が契約目的を達成する上で欠かせないとの認識が共有されているためと考えられる。多様な保険募集機関の規制類型についても、保険会社が募集機関の行為につき責任を負うか否かを規準とした分類がなされ、仲立人としての性質決定が紛争解決上重要な意味を持たないことを前提とした制度設計となっている。これらの規制理念は、2002年EC保険仲介指令にも反映されており、募集機関の規制ルールは、英国では、同指令の下、自主規制ルールを概ね承継した制度が制定法化される見込みである。 生命保険募集を金融サービス法構想にどのように位置づけるかの問題については、生命保険の貯蓄性・投資性をいかなる意味で法的ルールに反映させるかを模索する作業が続いている。英国では、投資的生命保険はパッケージ商品として投資信託とパラレルな規制に服するが、規制理念の変革は、市場に変額保険が投入され始めた1970年代の保険会社法改正にまで遡るのである。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2001年 -2002年, 若手研究(B), 大阪大学
  • 保険約款の認可規制緩和による商品の多様化と行政的・司法的規制の関係について
    木下 孝治
    欧州保険市場規制においては、保険約款の事前認可制は第三次保険指令により禁止されたが、国内の一般的利益保護のための規制がEC判例法理の規準により許容されている。保険者を拘束しない模範約款の作成も、域内市場における供そう制限行為を規制するEC条約85条の適用除外とする旨の欧州委員会規則が制定された。一般的利益概念は今なお十分に明確でなく、欧州委員会もその解釈につきガイドラインを作成中である等、流動的要素が残るが、ECの各加盟国は、これらEC法の枠内で保険商品に対する緩やかな規制を引き続き実施することができる。 これを受け、ドイツでは上述の意味での非拘束的な模範約款が監督庁の関与の下に作成・使用されている。保険約款の内容的合理性確保については、連邦保険監督庁が引き続き弊害につき包括的な事後的な行政的介入権限を有しているが、介入の保護法益及び違法性の規準は、司法的内容規制の根拠法となる保険契約法及び約款規制法に原則として一致するものと解されている。94年改正における生命保険、私的疾病保険分野の規定整備も、ドイツ保険法における契約内容の合理性保障を進めた。介入的規制がなお残る点でEC法との関係がなお不透明ではあるが、ドイツにおいては、今後も、保険契約者・被保険者保護に向けられた司法的、行政的規則により、契約内容の合理性保障が図られるであろう。 他方、保険市場においては業界の自主規制を尊重する謙抑的な国家気鋭を採用してきた英国においても、個人年金の不当販売を契機に金融サービス規制の制度改革が検討されている。しかし、そこでは金融サービス全般を通じた規則枠組及び顧客からの苦情処理制度の統一及び監督機関の包括的な規則制度定権限が主たる関心事であり、今次の制度改革が、保険契約の内容的合理性保障にいかなる影響を及ぼすかは予断を許さない。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 1998年 -1999年, 奨励研究(A), 大阪大学
  • 保険契約における商品と販売方法の透明性の研究
    木下 孝治
    1.本研究の対象たる保険商品の透明性に関しては、保険の引受危険の範囲に関する透明性と、募集手数料その他の販売コスト、金融商品類似の資産価値等の観点における透明性とが問題となり得るが、本年度は専ら前者の研究を行った。 2.わが国の家計保険領域では、市場に投入される複数の保険商品の間の顧客による選択に際して商品情報の透明性が問題となる。しかし、この問題につき積極的な情報提供規整は整備されておらず、特別規整である保険募集の取締に関する法律16条1項1号(平成7年保険業法300条1項1号に対応)により保険募集人に課せられた、顧客に対する保険契約上の重要事項の告知義務及び契約法の一般理論により処理しなければならない。わが国の保険募集規制は、従来から指摘のある通り、保険募集人の行き過ぎた募集活動の防止という観点から禁止行為を定めたものである。しかし、先に掲げた法条は、約款取引においては個々の条項の具体的了知の有無は契約成立にも個々の条項の拘束力にも(一部無効の問題を除き)影響を与えないという法的評価を踏まえ、保険取引にあっては重要事項の了知・商品比較を経た上での効果意思形成の確保を目的としたと解すべきである。 3.かかる枠組の下では、保険募集人は顧客の多様な保険需要を整理して定型的な保険契約への締結勧誘を委託されたと評価することができ、従って、顧客の保険需要から認識し得る限りで個別事情に応じて顧客の商品選択にとって重要な事項を告知説明することが法的に要請される。かかる要請に応ずるための保険募集人の専門知識に関する情報提供能力への信頼については、原則としてかかる業務を委託した保険会社が責任を負うと解すべきであり、保険募集人自身の責任が問われるのは、通常の取引上の信頼を越えた特別の個人的信頼を基礎とすべきことが、ドイツ法研究から裏付けられた。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 1995年 -1995年, 奨励研究(A), 大阪大学