集団的意思決定の質と性質の解明:情報のゲーム理論からのアプローチ
本領 崇一
日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2022年04月 -2025年03月, 基盤研究(C), 同志社大学
情報伝達の経済理論・実験分析と国際研究ネットワーク形成
河村 耕平; 清水 崇; 本領 崇一; 三浦 慎太郎; 定兼 仁
2019年度は国内ワークショプは予定通り開催できたものの、当該年度に計画されていた2件の海外研究者招聘によるワークショップ開催は、1件は招聘研究者の家庭の事情により、もう1件は新型コロナウィルスの影響により中止となり、更に2020年度においても旅行制限により招聘を実施することができなかった。そこで2021年度から海外在住の研究者によるオンライン研究会を定期開催し、合わせてインフォーマルな研究交流の機会を設けた。その結果、研究代表者や研究分担者の研究に資する、多くのフィードバックを得ることができた。
こうしたフィードバックをもとに、研究代表者はメディアとオンラインテクノロジーの動学チープトーク分析を深化させ、新たな厚生分析を加えることで、オンラインニュースへのアクセスのコストが(ネットニュースの充実等により)低くなるほど、ニュース記事の情報の信頼性が低下し、読者の厚生が低下する可能性を示した。また、逐次的コンサルテーションのチープトークモデルに取り組み、情報の受け手が複数の専門家を逐次的に訪れる際には、その訪問順序をランダムにすることにコミットすることにより、専門家同士の利害による情報の操作を抑え、結果として情報の受け手はより多くの情報を得られることを示した。
この間の研究分担者による研究成果としては、コロナウイルスのような特異な現象が発生した際に政府が情報を秘匿する要因の研究、組織におけるメンバーの退出と発言の相互作用についての研究、インフォーマルな権限委譲(エンパワメント)が部下からの情報伝達を阻害する状況についての研究、チープトークゲームにおいて金銭授受の可能性があれば支払条件等にコミットでき「なくても」均衡における情報伝達量を増やすことを示す研究、が挙げられる。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 2019年04月 -2023年03月, 基盤研究(B), 早稲田大学
複数エージェントシグナリングゲームの基礎理論構築
本領 崇一
複数センダーのシグナリングゲームにおいて、Kohlberg and Mertens (1986)による"Strategic Stability"が、Bagwell and Ramey (1991)による均衡の精緻化"unprejudiced belief"を含意するという結果が、論文"Strategic Stability of Equilibria in Multi-Sender Signaling Games" としてまとめられ、ゲーム理論の学術誌として最高峰とされる Games and Economic Behavior に掲載された。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究, 2019年04月 -2022年03月, 若手研究, 同志社大学
エビデンスベース・ポリシーに向けたビッグデータによる高解像消費データの構築と活用
矢野 誠; 佐藤 正弘; 関根 仁博; 鎗目 雅; 太田 塁; 本領 崇一
1,消費プロファイルを特徴空間とした消費者クラスターごとに, 製品グループ・製造企業・製品の各階層の代替弾力性や選好のパラメータを推計した.消費者個人レベルのパネルデータを用い,需要のオイラー方程式を推計し, 上述の選好パラメータを組み入れ,モデルの説明力を改善した(Sato and Yano, 2019, mimeo).
2,同じ商品を嗜好・探索・購入することを介した消費者のネットワークを, 製品グループごとのグラフデータとして構築し,次数分布がべき則に従う部分があることを明らかにした. 環境配慮製品を多く購入するグリーンコンシューマーの次数は有意に高く, 他者への影響力が比較的高いことが予見された(佐藤, 2018年度環境経済・政策学会報告).
3,2013年12月から翌1月に発覚したアクリフーズの農薬混入事件を事例として取り上げ, 発覚前後の対象製品及び関連財の価格や消費量の変化を抽出し,構造モデルを用いて背後にある選好パラメータの変化等を推計し,当該製品・事業者・製品グループ全体への影響を分析した.
4,大標本ビッグデータの解析を補完するために,社会関係資本とバイオマーカーやゲノムなどを含む高次元ビッグデータの構築を開始した.それによって,人間の社会性の源泉を明らかにするための基礎を作り,いくつかの予備的分家気結果を得た.さらに,一連の研究の基礎となる市場の質という観点からのデータ解析手法の基礎を提唱した.
5,ブレキシットやアメリカ大統領選では,情報操作によるビッグデータの悪用の問題が深刻化している.その解明はビッグデータに基づく研究の基礎としても,政策課題としても重要である.情報理論の専門家を分担者に加え,基礎的研究成果をまとめ,国際研究集会などで報告した.
6,上記の研究の基礎として,イノベーションの過程や人々の意識と経済活動などの理論的分析を行い一定の成果を得た., 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(A), 2016年04月 -2021年03月, 基盤研究(A)