三次元空間内の正多面体に関連するフラクタル集合の研究
中島 由人
写像の反復合成により複雑なフラクタル図形を作ることができるが, 反復の仕方が時刻に依存して構わないシステムではより複雑なフラクタル図形を作ることができる.そのような時刻依存のフラクタルを作るシステムを非自励的反復関数系と呼ぶ.フラクタル図形の複雑さを定量化すること, すなわちフラクタル次元を計算することは重要な研究対象であり,与えられた非自励的反復関数系からフラクタル次元を求める公式を作ることは重要である.それを踏まえ本研究ではフラクタルのパッキング次元を求める公式をある程度一般的な状況で得た.さらにそれを用いて高次元シエルピンスキーガスケットの断面のフラクタル次元を計算し,切る高さに対してそれに対応するハウスドルフ次元, パッキング次元を対応させる関数の考察を行った.これに関しては査読付き雑誌に掲載された.
一方でフラクタル図形がカントール集合のようにバラバラな場合には次元計算は比較的容易いがバラバラでないとき一般的に次元計算は難しい.そこで具体的な平面上のパラメータ付けされたフラクタル図形で考察してみた.重要な視点として,任意のパラメータに対応するフラクタル図形はある非自励的反復関数系によって作ることができる点である.そこでフラクタル図形が一般にバラバラでない設定で非自励的反復関数系にパラメータに関する横断性を用いる手法で解析した.ここで横断性を用いる手法は通常の反復関数系ではよく用いられる手法だが,非自励的反復関数系への応用に拡張できたことは具体的な設定とはいえ意義深い.主な結果としてほとんど全てのパラメータに対するフラクタル図形に対して公式が成り立ち, 例外的なパラメータのなす集合の大きさの評価を与えることができた.これに関しても査読付き雑誌に掲載される., 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2019年04月 -2022年03月, 特別研究員奨励費, 京都大学