新 茂之
アタラシ シゲユキ
文学部哲学科
博士後期課程教授
Last Updated :2024/04/27

研究者情報

研究キーワード

  • 科学理論
  • 進化的宇宙論
  • 形式論理
  • Scientific Theory
  • Evolutionary Cosmology
  • Formal Logic

研究分野

  • 人文・社会 / 哲学、倫理学

経歴

  • 同志社大学大学院文学研究科博士後期課程教授, 2014年 - 現在
  • 同志社大学大学院文学研究科博士前期課程教授, 2011年 - 現在
  • 同志社大学文学部教授, Faculty of Letters, 2010年 - 現在
  • 同志社大学文学部准教授, Faculty of Letters, 2008年 - 2010年
  • 中部学院大学人間福祉学部准教授, Faculty of Human Well-Being, 2007年 - 2008年
  • 同志社大学文学部非常勤講師, Faculty of Letters, 2003年 - 2008年
  • 中部学院大学人間福祉学部助教授, Faculty of Human Well-Being, 2003年 - 2007年
  • 梅花女子大学文学部非常勤講師, Baika Women's University, 1999年 - 2007年
  • 中部学院大学人間福祉学部専任講師, Faculty of Human Well-Being, 2000年 - 2003年
  • 中部学院大学人間福祉学部非常勤講師, Faculty of Human Well-Being, 1999年 - 2000年
  • 愛仁会看護助産専門学校非常勤講師, 1999年 - 2000年
  • 洛和会京都看護学校非常勤講師, 1996年 - 2000年
  • 同志社大学文学部ティーチング・アシスタント, Faculty of Letters, 1996年 - 1999年

学歴

  • 同志社大学, 文学研究科, 哲学および哲学史専攻, - 2000年
  • 同志社大学, 文学研究科, 哲学専攻, - 1994年
  • 同志社大学, 文学部, 文化学科哲学及倫理学専攻, - 1991年
  • 同志社大学, 法学部, 法律学科, - 1989年

学位

  • 博士 (哲学), 同志社大学
  • 修士 (哲学), 同志社大学

受賞

  • 日本デューイ学会研究奨励賞
    1998年, 日本

MISC

  • J. S. ミル『論理学体系』における帰納の要諦—数学的帰納を巡って—
    新茂之
    文化學年報, 72 75 - 100, 2023年03月, 記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
  • パースのプラグマティズム—科学的探究における連続体の位置—
    新茂之
    デューイの思想形成と経験の成長過程—デューイ没後70周年記念論集, 97 - 110, 2022年05月
  • パースのプラグマティズムにおける実在の位相—推論の妥当性の根拠として—
    新茂之
    文化學年報, 71 25 - 41, 2022年03月
  • J. S. ミル『論理学体系』における幾何学の経験論的把握—必然性の問題に照準を定めて—
    新茂之
    経験論の多面的展開—イギリス経験論から現代プラグマティズムへ—, 115 - 145, 2021年12月
  • デューイ『民主主義と教育』における経験という概念
    新茂之
    民主主義と教育の再創造―デューイ研究の未来へ―, 137 - 146, 2020年12月
  • プラグマティズムの反デカルト主義―真理にかんするパースの視座を出発点にして―
    新茂之
    同志社哲學年報, (43) 48 - 69, 2020年09月
  • パースの存在的図形第二部の変形規則にかんする再定式化
    新茂之
    Diagrammatic Representation and Inferences: 11th International Conference Diagrams, 187 - 201, 2020年06月, 研究発表ペーパー・要旨(国際会議)
  • J. S. ミル『論理学体系』における推論の論理的構造
    新茂之
    イギリス理想主義研究年報, (16) 29 - 38, 2020年02月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
  • A. N. ホワイトヘッドにおける「合致的集合体」の相対論的位相
    新茂之
    文化學年報, (68) 59 - 78, 2019年03月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
  • パースとジェイムズの連続主義的視座
    新茂之
    日本デューイ学会紀要, (59) 191 - 200, 2018年10月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
  • パースの存在的図形第2部における変形規則—除去と挿入
    新茂之
    Diagrammatic Representation and Inference: 10th International Conference Diagrams 2018, Springer Verlag, 582 - 589, 2018年06月, 記事・総説・解説・論説等(国際会議プロシーディングズ)
  • C. S. パースの「連続主義」における「連続体」の論理的構造
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (53) 23 - 32, 2012年
  • 様相命題論理の図像的展開-C. S. パース「存在図形」第3部の体系化に関する試み-
    新 茂之
    人文學, (189) 274 - 356, 2012年
  • C. S. パースにおける「蓋然性」の宇宙論的基底
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (52) 173 - 182, 2011年
  • C. S. パースにおける観念の意味としての「有用性」の問題
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (51) 59 - 68, 2010年
  • 「ケア」の関係的位相に関する倫理学的解明
    新 茂之
    人文学, 同志社大学, 186(186) 29 - 43, 2010年
  • C. S. パースの「存在図形第二部」に関する再定式化の試み
    新 茂之
    哲學論究, 同志社大学哲学会, (23) 43493 - 28, 2009年
  • C. S. パースの存在図形における「論理的可能性」に関する形式的展開の射程
    新 茂之
    文化學年報, 58 139 - 164, 2009年
  • 「自律」の関係的構造-福祉の援助がその照準を定めている自立支援から-
    新 茂之
    中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要, 中部学院大学総合研究センター, (8) 43475 - 10, 2007年
  • C. S. パースの「存在図形」第一部に関する無矛盾性の証明
    新 茂之
    哲學論究, 同志社大学哲学会, (21) 43495 - 30, 2007年
  • C. S. パースにおける「立論」のカテゴリー論的整序-定言命題と仮言命題の論理的等価性を巡って-
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (48) 97 - 107, 2007年
  • 教養教育における哲学教育-中部学院大学の現状から-
    新 茂之
    同志社哲學年報, (29) 43481 , 2006年
  • C. S. パースの「進化的愛」における「進化」の三様式に関わる動的連関
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (46) 99 - 108, 2005年
  • C. S. パースの「進化的宇宙論」における「進化」のカテゴリー論的位相
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (45) 193 - 201, 2004年
  • ケアの営みにおける主観性の動態
    新 茂之
    人間福祉学会誌, 人間福祉学会, 2(1) 61 - 68, 2002年
  • C. S. パースの「表示項」における「退化」の様態
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (43) 89 - 94, 2002年
  • 「ケアリング」によって促される人間の「成長」
    新 茂之
    中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要, 中部学院大学, 2(2) 50 - 60, 2001年
  • C. S. パース「プラグマティズム」の展開における連続性の問題-とくにかれの実在概念を中心に-
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デューイ学会, (42) 43471 - 6, 2001年
  • C. S. パースの「科学の方法」における「実在」の位相
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デュ-イ学会, (41) 54 - 55, 2000年
  • N. ノディングズの「ケアリング」における機作原理としての「自然な」心情
    新 茂之
    関西教育学会紀要, 関西教育学会, (24) 51 - 55, 2000年
  • C. S. パース「関係の論理学」における「外延主義」の射程
    新 茂之
    同志社哲學年報, Societas Philosophiae Doshisha(同志社大学文学部哲学研究室内), (23) 50 - 66, 2000年
  • C. S. パースの「習慣」の形成と機作における「アブダクション」の意義について
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デュ-イ学会, (40) 101 - 106, 1999年
  • C. S. パースの偶然主義における自由意志の根拠づけの問題
    新 茂之
    倫理学研究, 関西倫理学会, 28(28) 60 - 72, 1998年
  • C. S. パースの「第一性」に関する論理学的解明
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デュ-イ学会, (39) 174 - 179, 1998年
  • C. S. パースにおける論理法則の妥当性の基礎について-とくにその根拠としての実在概念を中心に-
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, 日本デュ-イ学会, (38) 68 - 74, 1997年
  • C. S. パースの関係の論理学における項の結合について
    新 茂之
    日本デューイ学会紀要, (36) 89 - 94, 1995年
  • C. S. パースの関係の論理学における項の分類にある難点とその克服の試み
    新 茂之
    同志社哲學年報, (18) 19 - 93, 1995年

書籍等出版物

  • デューイ『民主主義と教育』における経験という概念
    デューイ学会
    民主主義と教育の再創造―デューイ研究の未来へ―(勁草書房), 2020年12月, 分担執筆, 第14章137-146
  • パース
    加賀裕郎; 高頭直樹; 新茂之
    プラグマティズムを学ぶ人のために(世界思想社), 2017年04月, 編者(編著者), 第1章26-40
  • 道徳教育における哲学的基礎
    金光靖樹; 佐藤光友
    やさしく学ぶ道徳教育―理論と方法―(ミネルヴァ書房), 2016年06月, 分担執筆, 第4章40-52
  • パース「プラグマティズム」の研究-関係と進化と立論のカテゴリー論的整序の試み-
    新 茂之
    晃洋書房, 2011年, 単著, 学術書
  • パースにおける真理と探究
    新 茂之; 吉田謙二; 加賀裕郎; 隈元泰弘; 立山善康ほか
    現代哲学の真理論-ポスト形而上学の真理問題-(世界思想社), 2009年, 共著, 96-109, 学術書
  • 「想い」から始まるケアの営み-認識論から倫理学への橋渡し-
    新 茂之; 中野啓明; 伊藤博美; 立山善康ほか
    ケアリングの現在-倫理・教育・看護・福祉の境界を越えて-(晃洋書房), 2006年, 共著, 119-130, 学術書
  • H. J. グロック編『分析哲学の生成』(翻訳)
    新 茂之; 吉田謙二; 溝口隆一
    晃洋書房, 2003年, 共著, 学術書
  • 「総合的な学習」における「総合」の意味
    新 茂之; 佐野安仁; 隈元泰弘; 加賀裕郎
    現代教育学のフロンティア-新時代の創出をめざして-(世界思想社), 2003年, 共著, 172-184, 学術書
  • D. B. ゴーウィン『エデュケイティング』(翻訳)
    新 茂之; 竹内巧; 佐野安仁; 宮崎宏志; 梁貞模; 山田雅彦
    晃洋書房, 2000年, 共著, 50-76, 学術書
  • 「総合的な学習」と人間形成
    新 茂之; 佐野安仁; 芝野昭男; 吉田謙二
    晃洋書房, 2000年, 共著, 48-55,99-124, 学術書
  • 環境への取り組みに内包されるケアリング
    新 茂之; 林泰成ほか
    ケアする心を育む道徳教育-伝統的な倫理学を超えて-(北大路書房), 2000年, 共著, 54-69, 学術書
  • C. A. V. ペールセン『ビジネス・エシックスの基礎-経営管理の意志決定と文化の次元』(翻訳)
    新 茂之; 吉田謙二
    晃洋書房, 1998年, 共著, 学術書
  • N. ノディングズ『ケアリング:倫理と道徳の教育-女性の観点から-』(翻訳)
    新 茂之; 立山善康; 林泰成; 清水重樹; 宮崎宏志
    晃洋書房, 1997年, 共著, 46-92, 学術書

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 世界で広まる品格教育の日本的展開の可能性について:エビデンスと視察を通して
    青木 多寿子; 山田 剛史; 川合 紀宗; 笹山 健作; 宮崎 宏志; 足立 稔; 新 茂之; 井邑 智哉
    日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2020年04月 -2024年03月, 基盤研究(B), 岡山大学
  • 健常者と障がい者との共通理解の地平に関する理論的考察
    宮崎 宏志; 岸本 廣司; 青木 多寿子; 新 茂之
    こんにち、障がい者の人権の保障が強く求められ、障がい者の社会進出も促進されている。しかし、その一方で、障がい者に関する差別や偏見は未だ根強く存在していると言わざるを得ない。そのような状況を顧みれば、障がい者の権利の拡充や社会制度の充実だけを追い求めているのでは十分ではない。いまや、障がい者を真に理解し、そうした理解に基づいて、成熟した形で健常者と障がい者とが共生することをめざさなければならない。そこで、本研究では、倫理学的な見地から、想像力や暗黙知の洗練という点に焦点を絞りながら、健常者と障がい者との共通理解の地平を切り開く方途を探究した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2014年04月 -2017年03月, 基盤研究(C), 岡山大学
  • 9年一貫型の地域連携で取り組む品格教育への理論とエビデンスに基づく提案型研究
    青木 多寿子; 橋ヶ谷 佳正; 宮崎 宏志; 山田 剛史; 新 茂之; 川合 紀宗; 井邑 智哉
    よい行為の習慣形成を目指す品格教育(character education)は,小中連携の9年一貫で,学校・家庭・地域で連携して子どもの規範意識を育む生徒指導体制の確立を可能にする。本研究では,米国の品格教育優秀校の視察を通して,品格教育の実践に関わる具体的な手立てだけでなく,単なる徳の提示にとどまらない品格教育の本質について論考した。加えて,小中学校へのアンケート調査で,品格の構成要素を示した。さらに,品格教育は,1,2年くらいで成果が出るような教育でなく,5,6年目かかること,また特に中学生で大きな成果が見られることを示した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2011年04月 -2015年03月, 基盤研究(B), 広島大学
  • 健常者と障がい者との共生や対等性の意味に関する理論的考察
    宮崎 宏志; 新 茂之
    現在,障がい者の社会進出が促進されている。しかし,バリアフリーといった設備面などで障がい者の働ける環境が整えられつつある一方で,競争原理に基づくこんにちの社会情勢のもとで障がい者が健常者と対等に競い合うとはどのようなことなのかに関しては,明確な基準が確立しているとは言い難い。そこで,本研究では,社会的生活のうえでの健常者と障がい者との対等性の意味や,健常者と障がい者との望ましい共生のあり方に関して倫理学的に考察した。その主たる成果は,2013年日本道徳性発達実践学会で「ケアされる側からのインクルージョン再考」という題目で発表された。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2011年 -2013年, 基盤研究(C), 岡山大学
  • 世界に通用する日本型品性・品格教育の開発支援
    青木 多寿子; 橋ヶ谷 佳正; 宮崎 宏志; 山田 剛史; 新 茂之; 川合 紀宗
    義務教育の9年一貫でよい習慣づくりを,学区を挙げて日本で最初の取り組んでいるA教育委員会の取り組みを,専門家チームで支援し,世界に通用する人づくりを目指した.品格教育への疑問は,専門家チームにより端的な文書で回答した.また,米国の専門家をお招きしてご助言も頂いた.これらの結果,この取り組みは,世界基準でみても優れた点を持つ取り組みであることがわかり,品格教育への基本的な疑問はかなり解消された., 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2010年 -2012年, 挑戦的萌芽研究, 広島大学
  • 非単調的推論能力を高める道徳教材開発の研究
    宮崎 宏志; 新 茂之
    日常の道徳的判断は,直面する状況が似ていても,焦点をあてる事柄の違いによって判断内容が異なってくるという意味で非単調的である。同じ道徳教材を使用しても,焦点の当て方(教示の仕方など)によって学習者の判断が変わってくるということを,教育実践に携わる教員に確認してもらい,そうした事実を踏まえて,その都度の状況で焦点を当てるべき事柄を的確に選択できるような思考力を高めるための教材を提案している。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2008年 -2010年, 基盤研究(C), 岡山大学
  • 学区で取り組む品性教育の研究者による支援と成果・問題点の分析
    青木 多寿子; 橋ヶ谷 佳正; 宮崎 宏志; 山田 剛史; 新 茂之
    東京都のA区が取り組み始めた人格の完全を目指した品性・品格教育を、研究者で支援するのが本研究の目的である。 本研究の3年間の目的は、(1)品性・品格教育の全国初の実践に向けて、取り組みの理念や教育的意義を、教員や保護者に向けて正確に伝えるため、教育委員会の活動を支援すること、(2)品性に関する教育の成果を、well-beingとの関係を中心にアンケートで調査し、この取り組みをエビデンス・ベースの展開にすること、(3)アメリカで教員達に品性・品格教育を教え、全米で学校を支援しているボストン大学の先生をお招きし、A区の品性・品格教育にコメントしていただき、旧来の教育と違った新しい視点を取り入れることである。本年度はまとめの年なので、(1)、(2)を中心に行った。 (1) 地域の保護者向け講演会、校内研修会、教育委員会主催の研修会等で、交通費、講演料なしの講演を行い、全区実施に向けて教員研修等のお手伝いをした。また、教育委員会は、全学区で使用する教師用手引き書を作成したが、これを作成する際、知識提供、翻訳した資料の提供を行った。 (2) アンケート調査は、A区が取り組みを始める前の段階から毎年、2月に調査を行っている。今回で4回目のアンケートを実施した。3回目までのまとめは、アンケートに協力してくださった学校と教育委員会にお伝えした。この分析の結果、規範意識は確かにwell-beingと関わっているが、その教育の成果の様相は内容(根気、活力、寛容など)によって多様であることが窺えた。 (3) 昨年のボストン大学の教授による講演の逐語録をまとめ、多くの方に配布できるようにした。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2007年 -2009年, 挑戦的萌芽研究, 広島大学
  • 「福祉」の実際的活動の基底にある「ケア」の考え方に関する倫理学的考究
    新 茂之
    社会福祉はケアの実践である。ケアの観点は、普遍的原理が倫理的行為のいちばん重要な指針である、という従来の倫理学が暗黙のうちに前提してきた命題を、男性的な見方にかたよっていると批判し、女性の立場として、現実の具体的な人間関係のなかで倫理的な問題を解決するという態度を唱道した。 しかし、ケアの視点は、<男性>対<女性>という単純な対立図式にとどまらずに、道徳原理の抽象性ではなくて、ひととひととの具体的なむすびつきが人間存在をささえているのだという人間理解を内包している。すなわち、ジュディス・L・ハーマン(Judith Lewis Herman)の指摘にしたがえば、戦争の恐怖を克服するのは兵士同士の友愛なのである。 しかも、量より質に力点をかける今日の社会福祉は、科学的分析によって分節化された客観的世界だけにいきる人間ではなくて、主観的な意味づけがいろどろいきいきとした個人的世界にすまう人間を前提としている。 他者へのむすびつきが瓦解するという現象は、そうした世界の主観的有意味性の否定をはらんでいる。もちろん、他者へのむすびつきは、ケアしケアされる関係によって醸成される。ハーマンものべているように、ケアされたという経験からわたしたちは自分の属する世界へと目をむけられるようになる。つまり、現前する世界とわたしたちとをきりむすぶのは、だれかほかのひとにケアされたという経験なのである。 すると、わたしたちの主体性に力点をかけながらQOLの向上をめざす現代の社会福祉が前提する人間像は、つぎのように要言できよう。すなわち、わたしたちは、ケアしケアされる関係によって醸成されていく他者へのむすびつきに存在のささえをもとめながら、現前する世界に対して主観的な意味づけをおこなって固有の生活世界を形成し、そこにいきる価値をみいだそうとしているのだ、と。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2002年 -2003年, 若手研究(B), 中部学院大学
  • Iconic Understanding of Formal Modalities
    競争的資金
  • 形式的様相の図像的把握
    競争的資金