勝又 悦子
カツマタ エツコ
神学部神学科
博士後期課程教授
Last Updated :2025/05/01

研究者情報

    プロフィール

    勝又悦子
    同志社大学神学部准教授、Ph.D (ヘブライ文学)
    1965年山口県生まれ。2000年同大学院人文社会系研究科基礎文化コース宗教学宗教史学専攻博士課程単位取得退学、200709年度、日本学術振興会(RPD)、2010年第7回日本学術振興会賞受賞、2014年より現職。専門:ユダヤ学、ラビ・ユダヤ教聖書解釈。

    研究キーワード

    • ユダヤ史
    • ミドラシュ
    • ラビ・ユダヤ教
    • 聖書解釈
    • ユダヤ教

    研究分野

    • 人文・社会 / 宗教学 / ユダヤ学

    経歴

    • 同志社大学神学部, 教授, 2020年04月 - 現在
    • 同志社大学, 神学部, 准教授, 2014年04月 - 現在
    • 同志社大学神学部嘱託講師, Faculty of Theology, 2004年04月 - 2008年03月

    学歴

    • エルサレム・ヘブライ大学, 人文学研究科, - 2010年
    • Hebrew University of Jerusalem, Graduate School, Division of Humanities, - 2010年
    • 東京大学, 人文社会科学研究科, 基礎文化コース宗教学宗教史学専攻, - 2000年
    • 東京大学, Graduate School, Division of Humanities and Social Sciences, Religious Studies, General Culture, - 2000年
    • 東京大学, 人文科学研究科, 宗教学宗教史学専攻, - 1994年
    • 東京大学, Graduate School, Division of Humanities, Religious Studies, - 1994年
    • 東京大学, 文学部, 宗教学宗教史学専攻, - 1990年
    • 東京大学, Faculty of Literature, Religious Studies, - 1990年

    学位

    • Ph.D.(ヘブライ文学), エルサレム・ヘブライ大学
    • 修士(文学), 東京大学

    所属学協会

    • 日本聖書学研究所
    • 日本宗教学学会
    • Japanese Biblical Institute
    • Japanese Association for Religious Studies

    受賞

    • 第7回日本学術振興会賞受賞
      2010年, 日本
    • Seventh (FY2010) JSPS PRIZE Award
      2010年

    論文

    • Intension and Impurity: Regulations on the Impurity of Objects in the Mishnah
      ETSUKO KATSUMATA
      Annual of the Japanese Biblical Institute (AJBI) Vol. XLIX(2024), XLIX 102 - 128, 2025年03月
    • ユダヤ教伝統における「外」なる巨人と「内」なる巨人
      Conference Proceedings, 「巨人の場(トポス):古代オリエント・ユダヤ・イスラーム・ヨーロッパ文化圏における巨人表象の変遷, 2023年03月, 研究論文(研究会,シンポジウム資料等)
    • モノの「穢れ」と輪郭-『ミシュナ』トホロート巻を中心に
      宗教研究, 96(404) 79 - 102, 2022年09月, 研究論文(学術雑誌)
    • Christianity from the Perspective of Wissenschaft des Judentums: Jesus and Christianity According to Abraham Geiger
      Etsuko Katsumata
      The 10thCISMOR Annual Conference on Jewish Studies, 10 100 - 111, 2021年04月
    • Toward Investigation of Democracy in Jewish Thought: Freedom, Equality, and Dimos in the Rabbinic Literature
      勝又 悦子
      Journal of the Interdisciplinary Study of Monotheistic Religions, 14 27 - 44, 2019年03月, 研究論文(学術雑誌)
    • Images of Prophets and Prophecy in the Rabbinic Age and the Wissenschaft des Judentums
      勝又 悦子
      Annual of the Japanese Biblical Institute (AJBI), XLII-XLIII 7 - 34, 2018年12月
    • Interactions among Three Monotheistic Religions through Calendars
      勝又 悦子
      International Coference Values in Religions, 6 74 - 84, 2018年03月, 研究論文(国際会議プロシーディングス)
    • ユダヤ学・ユダヤ教から見たパウロ
      勝又 悦子
      一神教学際研究, 12 3 - 21, 2017年03月
    • ユダヤ教文献にみる「自由」と「支配者」像
      勝又 悦子
      宗教と社会―多文化共生社会の中で, 193 - 229, 2017年03月
    • ユダヤ教における自由:ヘブライ語聖書とラビ・ユダヤ教を中心に
      勝又 悦子
      基督教研究, 基督教研究会, 77(1) 1 - 23, 2015年, 研究論文(学術雑誌)
    • パネルの主旨とまとめ(宗教における「自由」「平等」-宗教の学際的研究に向けて-,パネル,<特集>第73回学術大会紀要)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 88 74 - 75, 2015年
    • 理想のリーダー像にみるユダヤ教の「自由」「平等」(宗教における「自由」「平等」-宗教の学際的研究に向けて-,パネル,<特集>第73回学術大会紀要)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 88 69 - 70, 2015年
    • 「ラビ・ユダヤ教は『第二神殿崩壊』をどのように捉えたのか市川裕編、聖公会出版、2014年、139-157頁
      勝又 悦子
      『世界の宗教といかに向い合うか―月本昭男先生退職記念献呈論文集<第1巻>』, 139 - 157, 2014年04月
    • ユダヤ教における子ども観の変遷(第四部会,<特集>第72回学術大会紀要)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 87 234 - 235, 2014年
    • タルグム偽ヨナタン(PS. J.)におけるエリヤ像
      勝又 悦子; カツマタ エツコ; Katsumata Etsuko
      基督教研究, 基督教研究会, 75(1) 17 - 38, 2013年06月
    • 偶像を打破するアブラハム:第二神殿時代文学・ラビ・ユダヤ教文献・クルアーンでの解釈の変遷
      勝又 悦子
      一神教学際研究, 同志社大学, 8(8) 38 - 62, 2013年
    • パネルの主旨とまとめ(伝統の危機とユダヤ教 : 築きあげたものが壊れるとき,パネル,研究報告,第七十一回学術大会)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 86(4) 768 - 769, 2013年
    • 「第二神殿崩壊」はいかに解釈されたか(伝統の危機とユダヤ教 : 築きあげたものが壊れるとき,パネル,研究報告,第七十一回学術大会)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 86(4) 764 - 766, 2013年
    • ユダヤ教聖書解釈における「預言者」と「祭司」のパラダイム(第五部会,<特集>第七十回学術大会紀要)
      勝又 悦子
      宗教研究, 日本宗教学会, 85(4) 1146 - 1148, 2012年
    • ラビ文献におけるTRGM(翻訳する)の語感
      勝又 悦子
      『一神教学際研究』, (6) 90 - 109, 2011年03月
    • 「ミドラシュのドラマツルギー」
      勝又 悦子
      『宗教学年報』, (28) 37 - 53, 2011年
    • “Priests and Prophets in the WIssensahft des Judentums”
      勝又 悦子
      『Monotheism in Asia 東京大学・バル・イラン大学共催国際シンポジウム報告書』, 123 - 129, 2011年
    • タルグムとラビ文学 -宗教史学論叢13
      勝又 悦子
      リトン 『宗教史とは何か【下巻】』, 177 - 208, 2009年
    • タルグムにおける十戒
      勝又 悦子
      同志社大学一神教センター 21世紀COEプログラム 『CISMOR ユダヤ学会議 Papers & Discussions:ユダヤ人の言語、隣接文化との歴史的習合』, 14 - 33, 2008年
    • ユダヤ教の家族観
      勝又 悦子
      庭野平和財団 『平和と宗教:宗教は家族をどう考えるか』, (26) 74 - 88, 2007年
    • ユダヤ教の結婚観
      勝又 悦子
      庭野平和財団 『平和と宗教:宗教は結婚をどう考えるか』, 庭野平和財団, (25) 18 - 32, 2006年
    • ラビとミーニーム:Tフリン2・20-24、コヘR1・8を中心に
      勝又 悦子
      神戸・ユダヤ文化研究会 『港Port』, 神戸・ユダヤ文化研究会, (11) 35 - 54, 2006年
    • ラビ・ユダヤ教文献にみられるラビとミーニーム(異教徒、異端者)との対話
      勝又 悦子
      同志社大学一神教学際研究センター 『一神教の学際的研究―文明の共存と安全保障の視点から―研究成果報告書2004年度』, 243 - 258, 2005年
    • Priests and Priesthood in the Aramaic Bible
      勝又 悦子
      Sheffield: Academic Press (Journal for the Aramaic Bible), (3) 139 - 159, 2001年
    • レビ記ラッバにおける〈贖罪〉の諸層―〈贖罪〉に働く2つのベクトル―
      勝又 悦子
      日本聖書学研究所 『聖書学論集』, (29) 125 - 177, 1997年
    • ミドラシュ(ラビ・ユダヤ教聖書解釈)へのアプローチ―思想構築の手がかりとしてのレビ記ラッバ26章の分析―
      勝又 悦子
      東京大学宗教学研究室『宗教学年報』, 東京大学文学部宗教学研究室, (12) 47 - 67, 1994年

    MISC

    • ユダヤ人とイスラエル社会を知るためのこの三冊!
      勝又悦子
      本のひろば, 2024年03月
    • 歴史の荒波の中をいかに生き抜いてきたか
      勝又悦子
      信徒の友, 20 - 23, 2021年11月, 記事・総説・解説・論説等(その他)
    • ものと心
      勝又悦子
      『しよう』, 2019年10月, その他
    • ユダヤ教の人間観
      勝又 悦子
      京都大学大学院人間・環境学研究科 『人環フォーラム』, 京都大学大学院人間・環境学研究科, (26) 38 - 43, 2010年
    • 『ミシュナII モエード』長窪専三、石川耕一郎訳
      勝又 悦子
      キリスト教文書センター 『本のひろば』, (570) 12 - 13, 2006年
    • 『ユダヤ教の精神構造』市川裕著
      勝又 悦子
      同志社大学一神教学際研究センター 『一神教学際研究』, (1) 130 - 134, 2005年

    書籍等出版物

    • ユダヤ文化事典
      丸善出版, 2024年08月, 分担執筆, ラビ・ユダヤ教の戒律と自由、ラビ・ユダヤ教の人間観、ラビ・ユダヤ教の異邦人観他
    • 中東・オリエント文化事典
      鈴木, 董; 近藤, 二郎; 赤堀, 雅幸; 岡田, 保良; 鎌田, 繁; 長沢, 栄治; 永田, 雄三; 西尾, 哲夫; 深見, 奈緒子; 保坂, 修司; 桝屋, 友子; 水野, 信男; 森本, 一夫
      丸善出版, 2020年11月, タルムードの項
    • 一神教世界の中のユダヤ教 : 市川裕先生献呈論文集
      勝又, 悦子; 柴田, 大輔; 志田, 雅宏; 高井, 啓介
      リトン, 2020年01月, 共編者(共編著者), 「民」と「自由」と「偶像崇拝」-出エジプト記ラッバ41章を中心にー
    • 宗教と対話ー多文化共生社会の中で
      勝又 悦子
      教文館, 2017年03月, 共編者(共編著者)
    • 生きるユダヤ教
      勝又 悦子
      教文館, 2016年06月, 共著, 1-3章
    • Priests and Priesthood in the Aramaic Targums to the Pentateuch
      勝又 悦子
      Saarbrücken: Lambert Academic Publishing, 2011年12月
    • 【訳書】タルムード入門 II、III (原著 A. Cohen, Everyman’s Talmud, 1949)
      教文館, 1997年

    講演・口頭発表等

    • 「律法主義」再考
      勝又悦子
      日本宗教学会第83回学術大会(録画発表部会), 2024年09月13日, 2024年09月13日, 2024年09月15日, 口頭発表(一般)
    • 内なる巨人としての「ゴーレム」ーミドラシュからカバラーへ
      勝又悦子
      同志社大学一神教学際研究センターオンライン公開シンポジウム「巨人の場(トポス)」, 2021年11月19日
    • 「ラビ・ユダヤ教時代の『食』‐いつ、どこで、何を食べたか」
      勝又悦子
      モノとアイデアの古代宗教世界シンポジウム第1部, 2020年12月20日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    • 「ユダヤ教伝統における『巨人』伝承の周縁性」
      勝又悦子
      中世英語英文学会第36回全国大会、公開シンポジウム 「ユダヤ・イスラーム・ヨーロッパ文化圏における巨人族表象の変遷」, 2020年12月05日
    • 「ユダヤ教聖書解釈におけるヨセフ―創世記49章へのタルグム(アラム語訳聖書)を通して」
      勝又 悦子
      CISMOR公開シンポジウム「ヨセフの物語について -宗教、芸術、音楽の観点から」, 2019年07月06日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    • タルグムとラビ・ユダヤ教
      勝又 悦子
      京都ユダヤ思想学会第12回学術大会「タルグムの世界-聖書解釈とユダヤの伝統, 2019年06月, 口頭発表(基調), 京都、同志社大学
    • “Christianity in the Sight of Wissenschaft des Judentums,”
      勝又 悦子
      The 10th CISMOR Conference on Jewish Studies (CJS10) In collaboration with the School of Theology, Doshisha University and Heksherim Research Institute, Ben-Gurion University of the Negev, 2019年05月, シンポジウム・ワークショップパネル(指名), CISMOR, Ben Gurion University, Kyoto, Doshisha University
    • 「ユダヤ教の食物規定カシュルート(כשרות)―概要とラビ・ユダヤ教時代の展開」
      勝又 悦子
      CISMOR公開シンポジウム「宗教と社会構造 -キリスト教、古代後期のユダヤ教、仏教における、食およびその他に関する法的な禁止と規定」, 2019年02月23日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
    • 「ユダヤ教における『民』『民衆』」
      勝又 悦子
      CISMOR 研究会「ユダヤ教の諸相とその周辺」, 2018年12月02日, 口頭発表(一般)
    • 「景教と古代ユダヤ教ー日本への伝播の可能性」
      勝又 悦子
      赤穂市立図書館平成30年度「歴史と文学の講座」, 2018年11月10日, 口頭発表(招待・特別)
    • ラビ・ユダヤ教文献における「民」「民衆」
      勝又 悦子
      日本宗教学会第77回学術大会, 2018年09月08日, 口頭発表(一般)
    • Interactions among Three Monotheistic Religions through Calenders
      勝又 悦子
      Internatilnal Conference-Values in Religion (6), Holy timies in Religions, 2017年12月02日, 口頭発表(一般)
    • 北フランスヘブライ語写本が伝える13世紀北フランス・ユダヤ社会の諸相
      勝又 悦子
      日本宗教学会第76回学術大会, 2017年09月15日, 口頭発表(一般)
    • The Emergence of Democracy in Jewish Thought
      勝又 悦子
      17th World Congress of Jewish Studies, 2017年08月08日, 口頭発表(一般)
    • 「ユダヤ教・ユダヤ学から見たパウロ」
      勝又 悦子
      CISMOR シンポジウム『パウロとユダヤ教』, 2016年09月24日, シンポジウム・ワークショップパネル(指名), 同志社大学一神教学際研究センター, 京都、同志社大学
    • ユダヤ教の人間学―神と人と律法と
      勝又 悦子
      ナザレ研修会第二回講演会、於横浜アンデレ教会, 2013年11月02日, 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
    • 『「第二神殿崩壊」はいかに解釈されたか』
      勝又 悦子
      第71回日本宗教学会パネル発表, 2012年, 皇学館大学
    • ユダヤ教聖書解釈における「預言者」と「祭司」のパラダイム」
      勝又 悦子
      第70回日本宗教学会, 2011年, 関西学院大学
    • 「タルグムにおける十戒」
      勝又 悦子
      CISMOR 第3回ユダヤ学会議「ユダヤ人の言語、隣接文化との歴史的習合」, 2008年, 同志社大学
    • イスラエルの障がい児療育を体験して思うこと
      勝又 悦子
      大阪市立大学文学部教職員人権問題研修会、大阪、大阪市立大学, 2005年11月, 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等

    Works(作品等)

    • 「ユダヤ教(1)歴史」「ユダヤ教(2)理念と慣習」、櫻井義秀、平藤喜久子編、『よくわかる宗教学』、ミネルヴァ書房
      勝又 悦子
      Educational materials, 2015年03月
    • (事典項目)「世界宗教の聖典-ユダヤ教」「カリスマ・聖人列伝―ユダヤ教系、アブラハム、モーセ他」 『宗教の事典』朝倉書店
      勝又 悦子
      Others, 2012年10月
    • (事典項目)「ユダヤ教」『現代社会学事典』弘文堂
      2012年
    • (事典項目)「アガダー」「タルグム」「タルムード」「ハラハー」、『聖書学用語辞典』日本キリスト教団出版局
      2008年, 『聖書学用語辞典』日本きりすと教団出版局
    • (事典項目)『タルムード入門』A.コーヘン、『ユダヤ教の人間観』E. フロム、 『宗教学文献事典』弘文堂
      2007年
    • (事典項目)「ユダヤ教」『講座イスラーム世界・別巻イスラーム研究ハンドブック』三浦他篇、栄光文化研究書
      勝又 悦子
      Artistic activity, 1995年10月

    共同研究・競争的資金等の研究課題

    • 総合的な聖書の「語り直し」学-古代から現代のユダヤ文学における発展とその学際性
      勝又 直也; 勝又 悦子; 志田 雅宏; 加藤 哲平; 大澤 耕史; 山城 貢司; 宇田川 彩; 嶋田 英晴
      日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2021年04月 -2025年03月, 基盤研究(A), 京都大学
    • 生きられた古代宗教の視点による古代ユダヤ変革期の東地中海世界の総合的宗教史構築
      市川 裕; 桑原 久男; 上村 静; 小堀 馨子; 土居 由美; 勝又 悦子; 長谷川 修一; 葛西 康徳; 小池 寿子; 江添 誠; 牧野 久実; 高久 恭子
      2020年度の研究実施計画は、①ユダヤ教における変革、神殿祭儀からラビ・ユダヤ教への宗教意識の転換。②古代ローマ世界への一神教の影響の理解のため、いかにリュプケ式LARを導入するか、であった。その研究成果は次の二点にまとめられる。 1.リュプケ氏の主著の画期的な功績の吟味 リュプケ氏の主著を精査する中で、本書の新しさが古代宗教研究において改めて深く認識された。現時点ではそのうちの二点を挙げて今後の共同研究に生かすことを目指す。第一は、宗教史理解と方法論の吟味である。一神教の世界展開に伴って、世界宗教史は「儀礼としての宗教」から「複数の個人的宗教」へという理解は欧米の古代宗教学者に共通だが、リュプケ氏は前者においても儀礼を遵守する人しない人があり、基本は個人にとっての宗教から考察を始めるべきであるが従来十分には考察されていないとして、新たに宗教を定義し、そのための3つの要素を提示する。第二は、欧米の宗教史理解を相対化し、その理解の基礎をローマ帝国の特性に由来するものと捉えているので、欧米以外の文化的発展との比較研究が期待されている点であり、ここに本科研研究のねらいを設定できる。 2.ユダヤ社会から二つの一神教が成立するプロセスについての新たな視点の発見 リュプケ氏の視点では、ユダヤ社会における儀礼的宗教から個人タイプへの宗教史的変遷が考慮されないため、儀礼から法の宗教への変遷の考察が本研究の重要な課題となる。ユダヤ社会の生きられた宗教に当たる要素に食事と穢れをめぐる論点があることが、公開シンポジウムにおいて確認できた。また、ユダヤの宗教規範をイスラエルの神の啓示法と見なした信者において、生きられた宗教の実践形態として聖典学習が登場することが再認識された。ここから、ラビ・ユダヤ教を事例として宗教における教育と学問の発展を宗教史的に素描する可能性が追及され、モノグラフの完成を見た。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2020年04月 -2024年03月, 基盤研究(A), 東京大学
    • 「創造の業」の系譜ーユダヤ教における「自由」と「偶像」の総合的研究
      勝又 悦子
      1.ユダヤ教における「自由」の概念と、また2.「偶像」の一環としてのユダヤ教における「巨人」伝承の発展について研究を進めた。 1については、近現代のユダヤ思想家の中でも、フロム、レヴィナス、アーレントに注目しながら、その「自由」論の特質を探っている。また、出エジプトにまつわる過越しの祭りの典礼集の中で「自由」「解放」が語られことに着目。出エジプトでは、ファラオへの隷属から唯一の神ヤハウェに仕えることが主眼となるが、なぜ、ヤハウェに仕えることは隷属ではなく「自由」と考えられているのかを出エジプト記についての解釈集(出エジプト記ラッバ)の記事を等中心に分析中。「自由」の対極に、偶像やファラオ等、ある種の権力への隷属が想定されていると考えられるが、神に従うことは、それらと何が違うのかを考察中。 2については、国立民族学博物館山中由里子教授、本学文学部大沼由布教授、関東学院大学髙井啓介准教授、立命館大学文学部岡本広毅准教授、龍谷大学文学部林則仁准教授、コメンテーターに太成学院大学黒川正剛教授を迎え、「巨人の場(とボス)」というタイトルで、古代、ユダヤ、ギリシア、中世ヨーロッパ、イスラーム世界を縦横断し、「巨人」モチーフの展開を追うオンラインシンポジウムを開催した(2021年11月19日)。多くの方々の視聴があり、有意義な成果を得られた。地域、文化、宗教の枠を超えた共通する文化態のようなものが、世界の中では蠢いていたさまが想像される。個別宗教、個別文化圏における研究と同時に、そのダイナミックな動きを連動させる視点の重要性が明らかにされた。現在、プロシーディングとして刊行準備中である。 また、ユダヤ教の律法主義について検討中である。従来、律法主義は、否定的にとらえられていたが、律法は万人に課せられている点で平等であり、ユダヤ教では自由をもたらすものと考えられているからである。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2020年04月 -2024年03月, 基盤研究(C), 同志社大学
    • 諸宗教における正典化をテーマとする、比較宗教教典研究の立ち上げのための総合的研究
      戸田 聡; 勝又 悦子; 林寺 正俊; 宮嶋 俊一
      第2年度も第1年度と同様、研究会合を着実に重ねていくことができ、研究代表者・分担者が扱っている個別宗教(仏教・ユダヤ教・キリスト教)以外の宗教の状況についても学ぶことができたことは、当初の計画どおりの進展だったと言うことができる。 但し、比較宗教教典研究という、本研究計画がそもそもの立ち上げを企図している当の研究「分野」(とあえて言うとして)に即して言えば、他の諸宗教に関して知見を得ることによって、問題の困難さが浮き彫りになったと言うことができる。 より具体的に言えば、近代日本の新宗教中の代表例と評しうる天理教との関連では、聖典の形成という事態が、教祖自身の言動或いは行動に基づく形で進展するということが(仏教やキリスト教の場合と異なり)必ずしも見られず、むしろ、教学の必要(及び、そのような体制整備によって、明治政府から一人前の宗教と認められるという差し迫った目的)に鑑みて、教学を念頭に置いた「教典」(これは天理教自体の用語法によっており、本研究計画が念頭に置いている「教典」とはやや意味が異なる)が聖典(これまた天理教自体の用語法によっており、本研究計画が念頭に置いている「教典」はむしろこの意味の聖典に近い)に先だって成立するという事態が見られた。つまり概念規定の妥当性に関する反省が求められたと言える。また、ゾロアスター教やインドの民族宗教(あえて言えば、バラモン教)との関連では、教典となるものの内容は古くから存在するがそれが文字化されない時期が長く続いたという、それ自体は既知ではある問題が改めて突きつけられることとなり、この事態をどう織り込んで比較宗教教典研究を推進していくかについて、今なお暗中模索の段階にあるということができる。 但し、この暗中模索は元々必要な経過点だと言うことはできるのであり、その意味では本研究計画は第2年度も着実な進展を遂げたと言えるのではあるまいか。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2020年07月 -2023年03月, 挑戦的研究(開拓), 北海道大学
    • イスラエル国ガリラヤ地方の新出土シナゴーグ資料に基づく一神教の宗教史再構築
      市川 裕; 佐藤 研; 桑原 久男; 細田 あや子; 上村 静; 高井 啓介; 月本 昭男; 土居 由美; 勝又 悦子; 長谷川 修一; 葛西 康徳; 江添 誠; 牧野 久実; 高久 恭子
      ガリラヤ地方テル・レヘシュ遺跡の最上層部で出土した簡素な集会所の遺構は、エルサレム神殿が健在だった西暦1世紀半ばに建設され、2世紀後半まで存続したことが推定できたが、同時代の既発見のシナゴーグと構造上、酷似していることからシナゴーグと同定された。シナゴーグと同定する決め手は、その遺跡がユダヤ人の居住地だったことの証明であった。石製品、調理具の蓋、質素なランプなど、穢れに対して極度に敏感な住民の意識はユダヤ法の浸透以外に考えにくい。これらの日常製品とシナゴーグの発見は、当時のユダヤ人が日常の物質文化を律法(トーラー)という宗教的規範によって律しようとする意識の高まりに由来することが認められる。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2017年04月 -2020年03月, 基盤研究(A), 東京大学
    • 「ユダヤ教における「デモクラティア」「自由」の出現」
      勝又 悦子
      基盤研究(C) (一般), 2016年04月 -2020年03月, 研究代表者, 競争的資金
    • ユダヤ学史と原典資料の複合研究――政治的・宗教的制約のない研究基盤の確立にむけて
      勝又 直也; 市川 裕; 勝又 悦子; 山本 伸一; 大澤 耕史; 向井 直己
      我々は、現在進行中のユダヤ学史の批判的再検討のを引き継ぎつつ徹底化し、現在の研究基盤にある「原典資料」の編纂というプロセスにまで至らしめた。現在、研究にあたって用いられる「学術校訂版」は、実のところ、写本の水準におけるテクストの連続性を解体し、その都度のパラダイムに従って再編成したものであり、これに基づく限り、前提された解釈の限界を超えることはない。実のところ、ユダヤ学のみならず、律法解釈の現場にあっても「原典資料」は絶えずアド・ホックに再構成されてきた。この点を踏まえ、その都度「原典資料」として参照されたもの一群の文献をこそ今後の研究の基盤とするべきだ、という点が、我々の研究の結論である。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2013年04月 -2016年03月, 基盤研究(A), 京都大学
    • ユダヤ教における「預言者」vs「祭司」のパラダイム
      基盤研究(C)(一般), 2011年 -2013年, 競争的資金
    • ユダヤ教の人間観-マイノリティに関するテキストのデータベース化と現代社会への提言
      勝又 直也; 勝又 悦子; コヘン ドロン; 向井 直己
      ユダヤ教におけるマイノリティの問題に関連する原典資料(ヘブライ語、アラム語)を、時代、地域、ジャンルを問わず収集、精読、分析し、日本語と英語に翻訳したうえで、データベースの構築を目指した。データベースはほぼ完成し、現在一般公開へ向けて準備中である。さらに、このデータベースを十分に利用して、ユダヤ教の人間観に関する包括的な図書の執筆も進めている, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2008年 -2012年, 若手研究(S), 京都大学
    • ユダヤ教聖書解釈の諸相-その変容と普遍性-
      特別研究員奨励費, 2007年 -2008年, 競争的資金
    • 三大一神教における聖書解釈
      基盤研究(C)(一般), 2005年 -2006年, 競争的資金
    • Jewish Studies
      競争的資金