膵臓がんにおける新たな腫瘍増大因子としての転写因子NRF3の機能解析
佐藤克哉; 道原琢登; 山元康平; 佐藤健; 松本光代; 五十嵐和彦; 和久剛; 小林聡
日本分子生物学会年会プログラム・要旨集(Web), 46th, 2023年
大腸ガン細胞におけるNRF3遺伝子の発現誘導メカニズムの解明
青野 栞; 和久 剛; 筆宝 義隆; 小林 聡
日本生化学会大会プログラム・講演要旨集, (公社)日本生化学会, 91回 [1T14a - 03(1P, 2018年09月
大腸がんの細胞増殖を制御するβ‐catenin‐NRF3‐20Sプロテアソーム経路
小林聡; 青野栞; Masudul Chowdhury AM; 畠中惇至; 筆宝義隆; 和久剛
がんと代謝研究会プログラム&抄録集, 6th 68 , 2018年05月
Histone H3K36 monoおよびdi methylationのreaderとしてのTET2タンパク質のcysteine rich domain(Cysteine rich domain of TET2 protein as a reader of histone H3 K36 mono and di methylation)
山形 一行; 木村 宏; 小林 聡; Yang Shi
日本生化学会大会プログラム・講演要旨集, (公社)日本生化学会, 89回 [3T15 - 03(3P, 2016年09月
Histone H3 K36 monoおよびdi methylationのreaderとしてのTET2タンパク質のcysteine rich domain(Cysteine rich domain of TET2 protein as a reader of histone H3 K36 mono and di methylation)
山形 一行; 木村 宏; 小林 聡; Yang Shi
日本生化学会大会プログラム・講演要旨集, (公社)日本生化学会, 89回 [3P - 238(3T15, 2016年09月
Gone regulation of the proteasome recovery pathway bv the transcription factor Nrfl (NFE2L1)
Akira Kobayashi; Yoshiki Tsuchiya
Seikagaku, Japanese Biochemical Society, 86(2) 265 - 268, 2014年, 書評論文,書評,文献紹介等
オートファジー選択的基質p62による転写調節機構(Discovery of novel regulation of Nrf2-Keap1 system by a selective autophagy substrate, p62)
小松 雅明; 黒河 博文; 和栗 聡; 小林 聡; 田中 啓二; 山本 雅之
日本細胞生物学会大会講演要旨集, (一社)日本細胞生物学会, 61回 196 - 196, 2009年05月
Hepatoprotective Role of Heme Oxygenase-1 in vivo in Basal and Oxidative Environments.
Mamiya T; Katsuoka F; Hosoya T; Hirayama A; Kobayashi A; Maher J; Matsui H; Hyodo I; Yamamoto M
Tohoku J Exp Med., 216(4) 331 - 339, 2008年
Ebselen, a seleno-organic antioxidant, as an electrophile (vol 19, pg 1196, 2006)
Toyo Sakurai; Masaya Kanayama; Takahiro Shibata; Ken Itoh; Akira Kobayashi; Masayuki Yamamoto; Koji Uchida
CHEMICAL RESEARCH IN TOXICOLOGY, AMER CHEMICAL SOC, 19(11) 1557 - 1557, 2006年11月, その他
Integrated mechanisms for detoxification and anti-oxidant response in animals
H Motohashi; T Suzuki; H Okawa; K Tong; M Tauchi; F Katsuoka; A Kobayashi; Y Fujii; M Yamamoto
PLANT AND CELL PHYSIOLOGY, OXFORD UNIV PRESS, 47 S19 - S19, 2006年, 研究発表ペーパー・要旨(国際会議)
Cloning of a coproporphyrinogen oxidase promoter regulatory element binding protein.
S Takahashi; K Furuyama; A Kobayashi; S Taketani; H Harigae; M Yamamoto; K Igarashi; H Yokoyama; Ishikawa, I; O Sasaki; J Kameoka; K Miyamura; K Meguro; N Hayashi; T Sasaki
BLOOD, AMER SOC HEMATOLOGY, 96(11) 285A - 285A, 2000年11月, 研究発表ペーパー・要旨(国際会議)
GC box結合転写因子BTEB遺伝子欠損マウスの小脳機能失調 (生化学)
守田匡伸; 中島修; 高橋智; 島貫智匡; 小林聡; 今高寛晃; 小倉博雄; 山本雅之; 藤井義明
生化学, 71(8) 997 - 997, 1999年08月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
新たなNF-E2関連因子Nrf3の単離と機能解析 (生化学)
小林聡; 伊藤悦朗; 土岐力; 小亀圭司; 五十嵐和彦; 山本雅之; 林典夫
生化学, (公社)日本生化学会, 71(8) 947 - 947, 1999年08月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
マウスbach1遺伝子の構造解析 (生化学)
孫継英; 五十嵐和彦; 小林聡; 星野英人; 西村滋子; 山本雅之; 林典夫
生化学, (公社)日本生化学会, 71(8) 814 - 814, 1999年08月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
クロマチン機能の制御 グロビン遺伝子LCRと抗体重鎖遺伝子LCRの結合因子群 (生化学)
五十嵐和彦; 小林聡; 吉田近思; 武藤哲彦; 星野英人; 竹安邦夫; 山本雅之; 林典夫
生化学, (公社)日本生化学会, 71(8) 608 - 608, 1999年08月, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
Bach2のBTBドメインと相互作用するFOBの機能解析
小林 聡; 山際 浩徳; 武藤 哲彦; 餅田 みゆき; 星野 英人; 山本 雅之; 林 典夫; 五十嵐 和彦
日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 21 406 - 406, 1998年12月01日
マウスbach2遺伝子の構造解析
高橋 伸一郎; 星野 英人; 武藤 哲彦; 伊藤 悦朗; 山本 雅之; 小林 聡; 五十嵐 和彦; 林 典夫
日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 21 405 - 405, 1998年12月01日
Bach結合因子FOBのBTBドメインの機能
餅田 みゆき; 小林 聡; 山際 浩徳; 山本 雅之; 林 典夫; 五十嵐 和彦
日本分子生物学会年会プログラム・講演要旨集, 21 406 - 406, 1998年12月01日
Regulation of AH receptor (dioin receptor) activity in the inducible expression of drug metabolizing enzymes
Y Fujii-kuriyama; J Mimura; M Ema; A Kobayashi; K Sogawa
NAUNYN-SCHMIEDEBERGS ARCHIVES OF PHARMACOLOGY, SPRINGER VERLAG, 358(1) R387 - R387, 1998年, 研究発表ペーパー・要旨(国際会議)
Transcription regulation by Ah receptor, Arnt and their related transcription factors
Y Fujii-Kuriyama; A Kobayashi; M Ema; J Mimura; M Morita; K Sogawa
FASEB JOURNAL, FEDERATION AMER SOC EXP BIOL, 11(9) A780 - A780, 1997年07月, 研究発表ペーパー・要旨(国際会議)
難治性である膵臓がんの増大機構の解明と新たな治療戦略の開発
小林 聡
日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2024年06月 -2026年03月, 挑戦的研究(萌芽), 同志社大学
アルギニンシグナルによる新たな生理作用:マクロピノサイトーシスとがん免疫回避
小林 聡
日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2023年04月 -2026年03月, 基盤研究(B), 同志社大学
腫瘍免疫系における転写因子NRF3を介した肥満パラドックスの分子メカニズム解明
和久 剛; 小林 聡
日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2022年04月 -2025年03月, 基盤研究(C), 同志社大学
プロテアソームから選択的オートファジーへの新たな活性化機構の解明
小林 聡
日本学術振興会, 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型), 2022年04月 -2024年03月, 新学術領域研究(研究領域提案型), 同志社大学
膵臓ガン克服に向けた免疫チェックポイント阻害療法の問題点の解決
小林 聡
本研究の目的は、膵臓ガンの乳酸産生メカニズムを解明し、その阻害が与えるT細胞への影響を解明することで、免疫チェックポイント阻害療法を奏功させる新たな治療法を開発する点にある。ノーベル生理学医学賞を授与された免疫チェックポイント阻害療法はガン治療に革命をもたらしたが、奏功しないガンも多い。例えば、膵臓ガンは大量に乳酸を分泌することで攻撃してきたT細胞やNK細胞等を不活化するため、同治療法が奏功しない(Brand A (2016) Cell Metabolism)。したがって膵臓ガンの乳酸産生メカニズムを解明し、これを阻害する薬剤を開発すればガン免疫療法の膵臓ガン治療効果を高めるはずである。しかし現時点では、そのような薬剤はまだ開発できていない。
本研究では、膵臓ガンの乳酸産生メカニズムを解明することで、ひいては、その乳酸産生メカニズムを阻害する治療法開発につなげる。解析ターゲットとしては、申請者らが世界に先駆けて発見した転写因子NRF3 (NFE2L3) (Kobayashi A. (1999) J Biol Chem)にフォーカスを当てる。なぜなら申請者らは、NRF3が膵臓がん細胞において乳酸合成酵素LDHAの遺伝子発現を誘導することを発見したためである。そこで、このNRF3-LDHA経路について細胞ないしマウス移植実験を駆使して解明する。この経路の存在が実証された場合は、さらにNRF3阻害剤であるHIV治療薬nelfinavirが膵臓がんの乳酸分泌を抑制することで膵臓がんの免疫回避能を減弱するか検証する。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽), 2021年07月 -2023年03月, 挑戦的研究(萌芽), 同志社大学
アミノ酸シグナルの新たな生理作用の解明と寿命延長ならびに免疫イグゾーストへの展開
小林 聡; 和久 剛
タンパク質を構成するアミノ酸がシグナル伝達因子として機能することが明らかにされ、食と医療という観点から大変注目を集めている。例えばロイシンはmTorc1シグナル系を活性化して細胞増殖を亢進させる。しかし生理作用が解明できていないアミノ酸はまだ多く、さらにそれが高次生命現象につながった例も少ない。そのような状況で申請者らは、アミノ酸レベルの低下が転写因子NRF3を活性化しアミノ酸トランスポーター遺伝子を誘導することを発見した。これはアミノ酸低下というシグナルが転写因子に作用し遺伝子発現を制御する珍しい現象である。NRF3は申請者が発見した転写因子であり、その祖先遺伝子である線虫のSkn1は栄養制限による寿命延長に関わる。さらにNRF3はがん抑制因子p53による細胞老化を阻害することでがんを悪性化する。つまりアミノ酸によるNRF3活性制御と生理作用の解明は、寿命延長やがん悪性化という高次生命現象の解明につながる可能性が高い。そこで本研究ではアミノ酸シグナルの新たな生理作用として、アミノ酸低下によるNRF3を介した生理作用を解明する。
本年度の研究成果としては、アミノ酸レベルの低下によりNRF3が活性化する知見から、NRF3を活性化するアミノ酸がアルギニンであること発見した。細胞内アルギニンレベルの低下を回復させるために、NRF3は細胞外物質を取り込むエンドサイトーシスの一種であるマクロピノサイトーシスを誘導することも明らかにした。これらNRF3の作用により回復したアルギニンというシグナルが、NRF3が発現制御する遺伝子とともに、細胞増殖を活性化するmTorc1をリソソームにリクルートしていた。以上の結果から、NRF3はアルギニンのレベルを感知し、細胞増殖を制御する転写因子であることを見出した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 2020年04月 -2023年03月, 基盤研究(B), 同志社大学
タンパク質恒常性の破綻による大腸がん増悪メカニズムの解明
和久 剛; 小林 聡
転写因子NRF3は翻訳制御因子であるCPEB3を直接転写する。CPEB3はNRF3ホモログであるNRF1の3’UTRに結合しNRF1の翻訳を抑制する。それによりタンパク質分解複合体であるプロテアソームの発現や活性が低下し、がん患者の予後不良につながる可能性を見出した。
またNRF3はタンパク質分解以外にも、主要な脂質代謝の1経路であるコレステロール生合成をリプログラムし、細胞内の中性脂肪量を減少させることを見出した。さらにNRF3はマクロピノサイトーシスと呼ばれる基質非特異的なエンドサイトーシスを誘導することで、細胞内のコレステロール量を一定に保っていることも明らかにした。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2019年04月 -2022年03月, 基盤研究(C), 同志社大学
液-液相分離による超多数遺伝子群の協調的発現機構の解明
小林 聡
三菱財団, 自然科学研究, 2020年10月 -2021年09月, 研究代表者
アンチエイジングをもたらすタンパク質分解酵素プロテアソームの連動的発現機構の 解明
小林 聡
日本学術振興会, 挑戦的研究(萌芽), 2019年06月 -2021年03月, 研究代表者, 競争的資金
腫瘍進展における新規プロテアソーム制御経路の機能解析
和久 剛; 小林 聡
タンパク質恒常性の破綻はがん増悪の要因になることが推察されていたが、その分子基盤は不明であった。本研究では転写因子NRF3(NFE2L3)が20Sプロテアソームのアッセンブリ因子であるPOMPを直接転写し、がん抑止因子であるp53やRetinoblastoma (Rb)のタンパク質をユビキチン非依存的に分解していることを見出した。さらに、このNRF3-POMP-20Sプロテアソーム経路の上昇は、腫瘍増悪や転移促進、およびがん患者の予後不良と相関することを明らかにした。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究(B), 2017年04月 -2019年03月, 若手研究(B), 同志社大学
大腸がん治療へのHIV治療薬のドラッグリポジショニング
小林 聡
京都大学, 橋渡し研究戦略的プログラム(シーズA), 2017年04月 -2018年03月, 研究代表者, 競争的資金
プロテアソームの発現機構の解明とアンチエイジングへの応用
小林 聡
日本学術振興会, 基盤研究(B), 2016年04月 -2018年03月, 研究代表者, 競争的資金
高次神経機能障害の発症メカニズムの解明と新規治療法の開発
小林 聡
文部科学省, 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業, 2012年04月 -2017年03月, 研究代表者, 競争的資金
脂肪滴を介した新たな転写代謝システムの解明
小林 聡
タンパク質恒常性(Proteostasis)を制御する転写因子Nrf1は、最近、脂質代謝調節にも関わることが明らかにされている。しかし、その詳細は解明されているとは言いがたい。本研究では、Nrf1が形成する転写代謝システムの全容解明を目指す。まず遺伝学解析に優れたショウジョウバエ解析系をモデルとして導入した。ショウジョウバエのNrf1祖先遺伝子であるCncCも同様に脂質代謝に関わるのか検討するために、CncCあるいはその変異体をショウジョウバエの脂肪組織Fat bodyに過剰発現させたところ、Nrf1にも保存されているNHB1ドメインを欠失させたCncCΔN変異体が脂肪形成を著しく減少させた。この結果は、CncCも脂肪代謝に関わること、そしてNHB1ドメインはNrf1と同様にCncCの機能を抑制していることを示す。次に、CncCΔN過剰発現による変動遺伝子を解析した結果、予想外に代謝関連遺伝子に大きな変動はなく、免疫関連遺伝子の発現が亢進していた。このことは、免疫系と脂質代謝のクロストークを示唆しているのかもしれない。一方、Nrf1ないしCncCが遺伝子発現を行うためには、NHB1ドメインによる抑制機構からの活性化が必須となる。この活性化機構を解明するために、プロテオーム解析を行った。その結果、Nrf1は、細胞質と核においてそれぞれユビキチンライゲースHrd1とβTrCPによりタンパク質分解されていることを明らかにした。さらに脱ユビキチン化酵素Usp15による核におけるNrf1安定化の拮抗メカニズムの存在も見出した。しかしながらNrf1活性化(核移行)はこれら分子機構の制御ではなく、ステロール合成の転写因子SREBPのように、タンパク質切断による小胞体からの解離にあると考えている。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型), 2014年04月 -2016年03月, 新学術領域研究(研究領域提案型), 同志社大学
脂肪滴を介した新たな転写代謝システムの解明
小林 聡
文部科学省, 新学術領域, 2014年03月 -2016年03月, 研究代表者, 競争的資金
転写因子Nrf1による脂質代謝制御機構の発展的研究
小林 聡
日本学術振興会, 基盤研究(C), 2010年04月 -2012年03月, 研究代表者, 競争的資金
転写因子Nrf1による脂質代謝制御機構の発展的研究
小林 聡; 土谷 佳樹
本研究計画では、転写因子Nrf1のノックアウトマウスがしめす脂質代謝異常に着目し、脂質代謝制御機構におけるNrf1の分子メカニズムを解析した。Nrf1は細胞質と核において2つの異なるタンパク質分解機構により機能抑制されていること、また標的遺伝子としてプロテアソームサブユニット遺伝子を同定した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2010年 -2011年, 基盤研究(C), 同志社大学
メタボリックシンドロームにおける転写因子Nrf1の遺伝子発現ネットワーク
小林 聡
日本学術振興会, 基盤研究(C), 2007年04月 -2009年03月, 研究代表者, 競争的資金
酸化ストレスセンサーKeap1のストレス応答機構
小林 聡
文部科学省, 特定領域研究, 2007年04月 -2009年03月, 研究代表者, 競争的資金
タンパク質分解制御による酸化ストレス応答機構の解明
小林 聡
文部科学省, 特定領域研究, 2007年04月 -2009年03月, 研究代表者, 競争的資金
タンパク質分解制御による酸化ストレス応答機構の解明
小林 聡; 土谷 佳樹
Keap1-Nrf2システムは, 生体の酸化ストレス・親電子性物質応答に関わる遺伝子発現制御システムである。Keap1は, 酸化ストレスに対するセンサーであり, 一方Nrf2は酸化ストレス防御遺伝子の発現を活性化する転写因子として機能する。最近申請者は, 酸化ストレスセンサーであるKeap1が, Cul3型ユビキチンライゲースのアダプターとしての機能も持ち, 転写因子Nrf2をプロテアソーム依存的にすみやかに分解していることを, 世界に先駆けて明らかにした。さらに, 酸化ストレスによるNrf2の活性化の実態は, Keap1-Cul3ユビキチンライゲースによる分解抑制からの脱抑制であることを示していた。本研究では, この酸化ストレスによるKeap1依存的ユビキチン化反応の阻害機構とさらに他のシグナル系とのクロストークについて解析を行った。
まずKeap1とM2の相互作用は, Nrf2のNeh2ドメイン内にあるDLGモチーフとETGEモチーフがそれぞれKeap1のDGRドメインと相互作用することを示した。DLG-DGR間の結合親和性はETGE-DGR間よりも低く, この結合が解離してもNrf2のユビキチン化が阻害され, 安定化することを見出した。したがって, 酸化ストレスによるNrf2の活性化機構の実態は, Keap1のシステイン残基の酸化修飾によりKeap1二量体の構造変換をもたらし, DLG-DGR間の結合が解離することにあるという申請者の仮説を支持した。さらにこのDLG-DGR間の結合を阻害する因子としてオートファジーに関わるp62を同定した。p62は, Keap1のDGRドメインに結合することで, Nrf2とKeap1の相互作用を競合的に阻害した。すなわち, 細胞内のバルクなタンパク質分解機構であるオートファジーとKeap1-Nrf2システムのクロストークの存在を明らかにした。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特定領域研究, 2007年 -2008年, 特定領域研究
酸化ストレスセンサーKeap1のストレス応答機構
小林 聡; 土谷 佳樹
Keap1-Nrf2システムは, 生体の酸化ストレス・親電子性物質応答に関わる遺伝子発現制御システムである。Keap1は酸化ストレスに対するセンサーであり, 一方Nrf2は酸化ストレス防御遺伝子の発現を活性化する転写因子として機能する。最近申請者は, 酸化ストレスセンサーであるKeap1が, Cul3型ユビキチンライゲースのアダプターとしての機能も持ち, 転写因子Nrf2をプロテアソーム依存的にすみやかに分解していることを, 世界に先駆けて明らかにした。さらに, 酸化ストレスによるNrf2の活性化の実態は, Keap1-Cul3ユビキチンライゲースによる分解抑制からの脱抑制であることを示していた。本研究では, Keap1による酸化ストレス感知機構の分子機構ついて解析を行った。
Keap1は分子内のシステイン残基で酸化ストレスを感知するが, それがいかにNrf2の活性化につながるかは不明であった。Keap1とNrf2の相互作用について検討した結果, Nrf2のNeh2ドメイン内にあるDLGモチーフとETGEモチーフがそれぞれKeap1のDGRドメインと相互作用することを見出した。DLG-DGR間の結合親和性はETGE-DGR間よりも低く, この結合が解離するとNrf2のユビキチン化が阻害され, 安定化することを見出した。したがって, 酸化ストレスによるNrf2の活性化機構の実態は, Keap1のシステイン残基の酸化修飾によりKeap1二量体の構造変換をもたらし, DLG-DGR間の結合が解離することにあるという申請者の仮説を支持した。さらにこの相互作用を競合阻害する因子として, 細胞内のバルクなタンパク質分解に関わるp62を同定し, p62の蓄積がNrf2を活性化することを見出した。すなわち, オートファジーと酸化ストレス応答とのクロストークの存在を示唆した。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特定領域研究, 2007年 -2008年, 特定領域研究
メタボリックシンドロームにおける転写因子Nrf1の遺伝子発現ネットワーク
小林 聡; 土谷 佳樹
本研究の目的は, 社会的な問題に発展しているメタボリックシンドロームに対する新たな治療標的として転写因子Nrf1に着目し, その脂質代謝にかかわる遺伝子発現制御ネットワークを解明する点にある。Nrf1の肝臓特異的遺伝子破壊マウスは, 肝臓に脂肪が蓄積して, 脂肪肝を経て最終的に肝ガンを発症する。 このマウスの症状は, ヒトの非アルコール性脂肪肝(NASH)の症状ときわめて酷似しているため, 疾患モデルマウスとなることが期待されている。本研究では, Nrf1の欠失による遺伝子発現制御ネットワークの破綻がもたらす脂質代謝異常について, その発症の分子機構を解析することを目標した。
まずNrf1の標的遺伝子を同定するために, Nrf1遺伝子破壊マウスの肝臓を用いてマイクロアレー解析を行った。Nrf1は転写活性化因子のため, 遺伝子破壊によって発現が減少している遺伝子に着目したが, 脂質代謝に関わる遺伝子は見いだせなかった。このことは, Nrf1は脂質代謝に対して直接は機能せず, 本来の生理機能が破綻したことによって間接的に脂質代謝へ影響をもたらした可能性が示唆された。次に, Nrfの生理機能をもたらす分子基盤として, Nrf1の細胞内局在とタンパク質機能制御について検討した。Nrf1は, 通常細胞質の小胞体(ER)に局在し, プロテアソーム依存的なタンパク質分解を受けていることを見いだした。すなわちNrf1の機能発現には, この小胞体局在とタンパク質分解による機能抑制を解除する活性化シグナル・ストレスが存在することを見いだした。そこで, Nrf1タンパク質の分解機構を解明する目的で, Nrf1結合タンパク質を検索した結果, ユビキチン結合酵素のアダプターを同定した。したがって, Nrf1は, ユビキチンープロテアソーム依存的にタンパク質分解を受けている可能性が高いことが分かった。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2007年 -2008年, 基盤研究(C)
酸化ストレスセンサーKeap1によるストレス感知機構と分解制御
小林 聡
日本学術振興会, 基盤研究(C), 2005年04月 -2007年03月, 研究代表者, 競争的資金
酸化ストレスセンサーKeap1によるストレス感知機構と分解制御
小林 聡
生体は,様々な外的・内的ストレスに曝されているが,そのようなストレスに対して防御・応答機構を発動させることで,恒常性維持に努めている.本研究では,酸化ストレスに着目し,その生体防御機構に対して理解を深めることを目的とする.
酸化ストレスのセンサーとして機能するKeap1蛋白質は,酸化ストレス応答の遺伝子発現に関わる転写因子Nrf2を,蛋白質安定性を制御することで,間接的に酸化ストレス応答機構を制御している.本研究では,Nrf2の分解制御機構を介したストレス応答機構について明らかにした.
非酸化ストレス下では,Keap1は,ホモ二量体を形成することで,DGRと名付けた2つのドメインを介して,1分子のNrf2を掴む形で相互作用していた.Keap1は,ユビキチン化結合酵素のアダプター分子としての機能もあることから,これによりNrf2はユビキチン化され,最終的に蛋白質分解酵素プロテアソームによりすみやかに分解されていた.
以上の結果から,申請者はさらに酸化ストレスによるNrf2活性化機構に対して,1つの有力な仮説を提唱した.すなわち,細胞が酸化ストレスに曝されると,Keap1は,その分子内のシステイン残基により酸化ストレスを感知する.その酸化的修飾によりもたらされるKeap1蛋白質の構造変化が,Nrf2との相互作用を解離させ,ユビキチン化が阻害される.これにより,Nrf2蛋白質が安定化することが,酸化ストレスによるNrf2活性化機構の実態であるというモデルである。現在,この仮説の検証のため解析を進めている., 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 2005年 -2006年, 基盤研究(C)
酸素センサーを介した転写制御機構の解析
小林 聡
文部科学省, 科学技術振興調整費(若手任期付教員支援), 2003年04月 -2005年03月, 研究代表者, 競争的資金
分化方向性の制御から挑む再生医工学
山本雅之
日本学術振興会, 萌芽研究, 2002年04月 -2004年03月, 競争的資金
転写因子Nrf3の腫瘍とapoptosis誘導における機能解析
小林 聡
文部科学省, 特定領域研究(C), 2001年04月 -2002年03月, 研究代表者, 競争的資金
転写因子Nrf3の大腸癌とT細胞分化における機能解析
小林 聡
基盤研究(C), 2000年04月 -2002年03月, 研究代表者, 競争的資金
ジーンターゲッティング法による転写制御因子BTEB及びBTEB2の機能解析
藤井 義明; 十川 和博; 小林 聡; 山本 雅之; 菊池 康夫
マウスのBTEBとBTEB2は亜鉛フィンガーモチーフを3回繰り返しもつ、GCbox結合性の転写因子である。これらの生体における機能を明らかにするために遺伝子を単離しての第一エクソンをβ-galとneo遺伝子に置き換えたターゲティングベクターを作成し、常法に従いBTEBとBTEB2遺伝子の欠失マウスを作製した。BTEB(^-/_-)マウスは雌、雄共にメンデルの法則に従って正常に生まれて来て、生育も野性型と見かけ上変わらなかったが、BTEB2(^-/_-)マウスは雌、雄共に生まれて来ないことが分かった。従って、胎児の解析を行った結果、受精後3.5日までは見かけ上正常に発生するが、着床後に致死になることが分かった。その原因を検討した結果、FGF4の発現が低下していることが分かった。FGF4は胎児の発生で重要な役割を果たしており、FGF4の遺伝子欠失マウスは胎児発生の初期に致死になることが報告されているので、少なくともこの遺伝子の発現低下が、BTEB2欠失マウスの致死の原因であると考えられた。FGF4遺伝子の上流のプロモーター領域にはBTEB2結合配列のGCbox配列があり、chromosome immunoprecipl itation法によって、発生初期マウス胎児のFGF4のGCbox配列にはBTEB2が結合していることが明らかになった。BTEB欠失マウスは正常に生まれて来て見かけ上、野性マウスと変わらないが、BTEBは小脳のプルキンエ細胞と海馬に特徴的な発現パターンを示したので、マウスの行動と記憶の解析を行った。その結果、小脳の働きに関連していると考えられる回転棒テストと海馬の状態に関連する記憶を調べるcontextual fear conditioning testで野性型マウスと比較して明らかに機能の低下が観察された。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 2001年 -2002年, 基盤研究(B)
血液細胞特異的クロマチン構造調節機構の解析
五十嵐和彦
文部科学省, 基盤研究(B), 1999年04月 -2001年03月, 競争的資金
NF-E2関連因子群によるクロマチン構造の制御と造血細胞分化における転写制御機構
小林 聡
文部科学省, 特定領域研究(A), 1999年04月 -2000年03月, 研究代表者, 競争的資金
遺伝子改変マウスを用いたヘム生合成系異常疾患遺伝子治療の基礎的研究
林 典夫
基盤研究(B), 1998年04月 -2000年03月, 競争的資金
赤血球系細胞における遺伝子情報発現の制御機構および細胞分化における役割の解明
林 典夫
基盤研究(B), 1998年04月 -2000年03月, 競争的資金
新たなCNCファミリー因子Nrf3の機能解析
小林 聡
奨励研究(A), 1998年04月 -2000年03月, 研究代表者, 競争的資金
NF-E2結合配列を介した転写調節機構とその血液細胞分化における役割
小林 聡
文部科学省, 特定領域研究(A), 1998年04月 -1999年03月, 研究代表者, 競争的資金
白血病細胞における転写因子GATA-2の転写調節機構の解析
林 典夫
文部科学省, 特定領域研究(A), 1998年04月 -1999年03月, 競争的資金
造血細胞分化におけるNF-E2関連因子群の機能
小林 聡; 五十嵐 和彦
我々が単離したNF-E2関連因子Nrf3,Bach1,Bach2は、発現様式と機能的類似性から、NF-E2と同様に造血細胞分化過程おいて重要な機能を担う転写因子であると予想される。またNF-E2結合配列はβグロビン遺伝子やIgH遺伝子などのLCR(Locus control region)中に存在していることから、NF-E2関連因子がLCRの特徴の一つであるクロマチン構造の制御をもたらしているとも考えられる。そこで本研究ではこれら因子から造血細胞分化とクロマチン構造制御機構の解明を目指し、以下の3点を明らかにした。
(1)新たなNF-E2関連因子Nrf3を単離し、分子進化上一つの共通祖先遺伝子からchromosome duplicationなどにより4つの関連因子に派生した可能性を明らかにした。
(2)Bach2の細胞内局在は、核移行と核外排出機構により拮抗的に制御され、最終的に細胞質に局在していること、そして酸化ストレスにより核に集積することを明らかにした。
(3)Bach2のBTBドメインに結合する因子MAZR(MAZ-related factor)を単離し、造血発生過程においてBach因子と協調的に構造転写因子として機能している可能性を明らかにした。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 1999年 -1999年, 特定領域研究(A), 東北大学
赤血球系細胞における遺伝子情報発現の制御機構および細胞分化における役割の解明
林 典夫; 五十嵐 和彦; 小林 聡
本研究の目的は、赤血球分化に関与する遺伝情報発現制御機構を総合的に解明することである。まず、ヘム合成系の酵素であるコプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ(CPO)遺伝子をモデル系として採用し、赤血球系細胞とそれ以外の細胞における同遺伝子の発現制御機構の違いを明らかにすることを試みた。CPO遺伝子のプロモーター領域の解析により、同領域における新規CPREモチーフが重要であることが明らかになった。次に、赤血球分化に重要なNF-E2のファミリー分子として、Nrf3やBach1の機能の解明を試みた。その結果、Nrf3にはCaspase9と相互作用する領域が存在することを明らかにした。また、たいへん興味深い知見としてBach1がヘムを結合することを見いだした。さらに、Bach1遺伝子破壊マウスでは、ヘムオキシゲナーゼ1遺伝子の恒常的発現上昇が起こっていることを見いだした。これらのことから、ヘムの存在量により、Bach1の機能が変化する可能性が示唆される。ヘムが少ない場合は、ヘムオキシゲナーゼ1の基質が少ないことになり、同酵素の発現量は少なくてよいはずである。したがって、Bach1はヘムの量をモニタリングしつつ、ヘム依存性の制御を生み出しているものと考えられる。この予想どおり、Bach1のDNA結合は過剰のヘムの存在により顕著に抑制される。したがって、ヘムが過剰の場合は、Bach1によりヘムオキシゲナーゼ1の転写が抑制され、ヘムが減少するとその抑制が解除されることで転写が上昇するものと考えられる。, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 1998年 -1999年, 基盤研究(B), 東北大学